色について学ぶ30日 ― 色を知ると世界がもっと楽しくなる
【Day15】和服と色の意味 ― 四季・身分・願いが込められた日本の色
日本の和服(着物)は、単に「美しい衣装」ではありません。
その色には、季節・自然・祈り・身分・儀礼といった深い意味が込められています。
現代の私たちがなんとなく持っている色のイメージは、
和服文化から受け継がれているものも多く、
色彩文化の宝庫ともいえる存在です。
今日は、和服に使われる色の意味と、季節や儀礼と結びついた日本独自の色文化を紹介します。

■ 和服における「色の役割」
和服の色は、以下の3つの要素と深く結びついています。
● ① 季節
日本は四季の国。
- 春:桜色、薄紅、若草
- 夏:浅葱、若竹色、藍
- 秋:茜色、紅葉色、金茶
- 冬:紺、薄墨色、白
“季節をまとって歩く”という考え方が和服にはあります。
● ② 身分・格式
平安時代〜江戸時代にかけて、色は「身分の象徴」でした。
例:
- 紫:最上位(位階制度)
- 深緋(こきひ):皇族女性の色
- 黄櫨染(こうろぜん):天皇の儀式服の色
- 藍染め:庶民に広く浸透し“粋”の色に
現在でも、格式の高い場では「紫・赤・金」は特別視されます。
● ③ 願いや祈り
色は祈りの象徴としても使われました。
- 赤:魔除け、生命力
- 白:浄化・清らかさ
- 桃色:良縁
- 青(藍):健康・厄除け
- 緑:豊穣
“色を身に付ける=願いを身にまとう”という文化が息づいています。
■ 和服を彩る代表的な色と意味
● 桜色(さくらいろ)
春の訪れ、可憐さ、生命の芽吹き
→ 祝いの席や若い女性に人気
● 藍色(あいいろ)
健康・魔除け・粋
→ 江戸庶民に愛され、現代ファッションにも影響
● 紅(べに / くれない)
情熱・生命・吉祥
→ 花嫁衣装に多く使われるめでたい色
● 若竹色(わかたけいろ)
成長・希望・初夏
→ 初夏の季節を演出する爽やかな緑
● 藤色(ふじいろ)
上品・優雅・伝統美
→ 高貴なイメージで、舞妓や芸妓の着物にも使用
● 白(しろ)
純粋・神聖・始まり
→ 花嫁衣装・儀式・祭礼の象徴
● 黒(くろ)
厳粛・礼装・格式
→ 黒留袖は既婚女性の第一礼装
■ 和服における「季節の重ね色(襲色目)」
平安時代には、
襲色目(かさねいろめ) と呼ばれる色のレイヤー文化がありました。
表と裏(または重ねる布)の色の組み合わせで季節感や心情を表現します。
例:
- 桜重ね:白 × 淡紅 → 春
- 萌黄重ね:薄緑 × 若草 → 若葉の季節
- 菫重ね:紫 × 藤 → 早春の花
現代の着物にも、この色の重ね文化が受け継がれています。
■ 和服と現代色彩のつながり
実は現代の私たちの色のイメージにも、和服文化が影響しています。
- 桃色=かわいらしさ
- 藍色=落ち着き・粋
- 紫=上品・格式
- 赤=祝い・元気
- 緑=癒し・自然
これらのイメージは、古くから日本の生活文化の中で育まれてきたものです。
■ デザインへの応用アイデア
- Webデザインに和色を取り入れると“一気に品のある印象”に
- 名刺やロゴに藍色・藤色を使うと落ち着きと和の雰囲気
- お店のメニューに季節の色を入れる
- 化粧品や食品パッケージに伝統色を使う
- 旅館・ホテルなど和風施設の空間演出に最適
日本の伝統色は、世界中から高く評価される美しい配色体系です。
▼ まとめ
- 和服の色には季節・身分・願いが込められている
- 日本は“色と言葉”の文化で、色名自体が美しい
- 藤色・桜色・茜色・藍色など、上品で洗練された色が多い
- 襲色目で色を重ねて季節を表現する独自の文化
- 現代デザインにも応用できる優れた色体系
和服の色は、単なる衣装の色ではなく、
“日本の心”が反映された深く美しい文化です。
▼ 出典・参考
- 『日本の伝統色事典』(紫紅社)
- 『襲色目の美学』
- 日本文化史(有斐閣)
- 国立博物館所蔵 着物資料
