【Day21】ブランドカラーの作り方 ― “一目で伝わる色”を設計する方法

色について学ぶ30日 ― 色を知ると世界がもっと楽しくなる

【Day21】ブランドカラーの作り方 ― “一目で伝わる色”を設計する方法

ブランドを作るうえで、色はロゴや名前よりも早く印象を伝える重要な要素です。
実際、強いブランドは必ず 「ブランドカラー(コーポレートカラー)」 を持っています。

  • コカ・コーラは“赤”
  • Facebook は“青”
  • スターバックスは“緑”
  • Tiffany は“ティファニーブルー”

色だけで「どのブランドか」ほぼ分かりますよね。

これは、
ブランドは色で記憶される
という研究結果があるほど、色がブランド力を左右するためです。

今日は、プロのブランドデザイナーが行う
ブランドカラー設計の手順・心理的意味・色の使い方 を分かりやすく解説します。


■ 1. ブランドカラーは「ブランドの性格(人格)」から決める

まず必要なのは、“ブランドの人格設定”。

例:

  • 信頼・誠実・誠意 → 「青」
  • ナチュラル・優しさ → 「緑」
  • 高級・特別 → 「黒・金」
  • 明るい・元気 → 「黄色・オレンジ」
  • 美しさ・女性らしさ → 「ピンク」

ブランドの価値観・使命(ミッション)・ターゲットを整理してから色を選ぶと、
「ぶれないブランドカラー」が作れます。


■ 2. ブランドカラーの役割(大切なポイントは3つ)

① ブランドを一瞬で認識させる

視覚情報の80%は色で判断されるため、
色は「記号」のように機能します。

② 価値を“無言で伝える”

色は言葉より速く感情に届きます。
ブランドの雰囲気を潜在的に伝える最強ツールです。

③ すべてのデザインの基準になる

  • ロゴ
  • Webサイト
  • パッケージ
  • 名刺
  • 店舗
  • チラシ
  • SNS投稿
    すべての基準が「ブランドカラー」。

だからこそ“最初にしっかり決める”ことが重要です。


■ 3. 色の意味から選ぶ(心理的ポジション)

● 青:信頼・誠実・安心

例:銀行、医療、IT企業
→ 高い信頼性が必要なビジネスに最適


● 緑:自然・調和・癒し・健康

例:オーガニック食品、コスメ、環境団体
→ ナチュラル系ブランドの鉄板


● 赤:情熱・行動・エネルギー

例:スポーツ、飲食、限定性
→ 決断力・勢いが必要なブランドに向く


● 黄色:明るさ・楽しさ・気軽さ

例:子ども向け、雑貨、エンタメ
→ ポップさ・親しみが欲しいブランド


● 黒:高級・洗練・強さ

例:高級ブランド、家電、ハイエンド商品
→ “プレミアム”を表現したい場合の王道


● 白:清潔・透明・シンプル

例:美容・スキンケア・ミニマル系
→ 無添加・安心を伝えるのに最適


■ 4. ブランドカラー設計のプロセス(ステップ方式)

■ STEP1:ブランドを「言葉」で定義する

例:
・ターゲット:20〜40代の女性
・価値:肌にやさしい・天然成分・信頼・日常ケア
・雰囲気:清潔・ナチュラル・柔らかい

この言語化が最重要。


■ STEP2:ブランドの“感情マップ”を作る

感情を8つに区分して色を当てはめます。

  • 安心:青・緑
  • 明るい:黄
  • 上品:紫・ベージュ
  • 高級:黒
  • 清潔:白
  • 元気:橙
  • 情熱:赤
  • 自然:緑・茶

ブランドの感情に合う色を絞り込みます。


■ STEP3:メインカラーを1つに決める

ブランドの顔となる色。

※1色に絞る方が記憶に残る
(例:LINE=緑)


■ STEP4:サブカラー(補助色)を決める

Webサイトやパッケージで使う、メインを補強する色。

例:

  • ブランドカラーが青なら → 白・薄グレー
  • 緑なら → ベージュ・ブラウン

■ STEP5:アクセントカラー1色

CTAボタン・強調部分・POPなどに使用。

例:

  • きつい赤
  • オレンジ
  • 黄色

アクセントは 1色だけ が鉄則。


■ STEP6:実際に「パレット化」する

  • HEX
  • RGB
  • CMYK
  • トーン(淡い・濃い)

として数値化し、ブランド色を定義します。

例:
主色:#00A68E
補色:#F4F7F6(白系)
アクセント:#FFB400(黄色)

こうすることで、誰がデザインしても“ぶれない”。


■ 5. 成功しているブランドの色戦略(実例)

● スターバックス

緑(安心・自然・上品)
→ 都会の中の「第三の場所」を演出


● 無印良品

赤×白×クラフト色
→ 素材・生活・簡素・本質的価値を象徴


● Apple

白・銀・黒
→ 未来感・洗練・ミニマル


● コカ・コーラ


→ 活動・元気・衝動買い・情熱

色によってブランドの方向性が一瞬で伝わるのが分かります。


▼ まとめ

  • ブランドカラーは「ブランドの人格」から決める
  • 色には明確な心理があり、ブランド価値を無言で伝える
  • メイン1色+サブ2色+アクセント1色が黄金構成
  • 色を数値化(HEX・RGB)して統一ルールを作る
  • 世界のブランドは“色”で成功している

ブランドカラーは
ブランドの記憶そのもの です。


▼ 出典・参考

  • ブランディングデザイン実践書
  • 日本色彩学会『色彩とブランドイメージ』
  • 世界ブランドカラー分析(Pantone)
  • Marketing Color Psychology Data