色について学ぶ30日 ― 色を知ると世界がもっと楽しくなる
【Day24】色の文化差 ― 国や地域で“同じ色が違う意味”になる理由
色には「共通の心理効果」がありますが、
国や地域、宗教、歴史によって“意味が大きく異なる” ことをご存じでしょうか?
たとえば、
- 白=純潔(欧米)
- 白=死・弔い(東南アジア)
同じ白でも、文化によって正反対の意味になることがあります。
今日は、世界の色の意味の違いをわかりやすく紹介します。

■ 色の意味は“普遍”ではない
色の感じ方は
- 気候
- 歴史
- 宗教
- 社会背景
- 伝統文化
と深く結びついています。
そのため、同じ色が国によって「幸運」「不幸」「禁止」「愛情」など、まったく異なる印象を持つことがあります。
ビジネス、デザイン、観光、国際マーケティングでは
文化ごとの色の捉え方 を理解しておくことが非常に重要です。
■ 世界の色の文化差(色別に紹介)
● 赤(情熱・幸福・危険 ― 多義的な色)
日本:
- 情熱・生命力・晴れの日
- 神社の鳥居、祝い事
中国:
- 大吉・繁栄・富
- 結婚式でも赤が使われる
欧米:
- 情熱・愛
- しかし同時に「危険」「警告」の色でもある
中東:
- 保守・宗教的象徴
赤は世界で最も意味が多様な色のひとつ。
● 青(信頼・神聖・悲しみなどの幅が広い)
日本:
- 誠実・清潔・冷静
- 好印象カラーとして人気
欧米:
- 信頼(銀行・医療)
- 男性を象徴する色
- “Blue Monday”のように憂鬱の意味も
中東:
- 魔除け(ナザール)
- 聖なる色
インド:
- クリシュナ神の色(神聖)
「信頼の色」として世界で比較的ポジティブに扱われる。
● 緑(自然・安全・宗教の象徴)
日本:
- 森林・癒し・安らぎ
欧米:
- 安全・環境配慮
- しかし「嫉妬」という意味もある(Green-eyed)
中東:
- イスラム教の神聖な色
- 非常に特別な意味がある
アフリカ:
- 肥沃・豊かさ
緑は「環境」と「宗教性」を併せもつ色。
● 白(純潔・死・平和 など真逆の意味を持つ)
欧米:
- 純粋・結婚・天使
- 幸福の象徴
日本:
- 清潔・神聖
- しかし「死装束」の色でもある
インド・中国一部地域:
- 喪の色
- 不吉・死と結びつく
「白」の受け取り方は地域差が最大級。
● 黒(高級・死・権威)
欧米:
- フォーマル(タキシード)
- 高級ブランドの色
- 同時に「死・喪」
日本:
- 高級・強さ
- 喪服の色でもある
アフリカ:
- 成長・成熟(地域により異なる)
黒は「威厳」と「死」の両面を持つ。
● 黄色(幸福・警告・神聖など多様)
日本:
- 明るい・元気
- 危険の注意喚起
中国:
- 皇帝の色(権力)
- 祝福と富の象徴
欧米:
- 幸せ・注意(交通標識)
- 友情の色として扱われることも
黄色は文化的ポジションが大きくブレやすい色。
■ なぜ色の意味がこんなに違うのか?
① 気候の違い
- 雪国→白=死(寒さ)
- 砂漠→青=水の象徴(希少価値)
② 宗教の影響
- キリスト教:青=聖母
- 仏教:黄色=僧侶
- イスラム:緑=聖なる色
③ 歴史・王権
- 中国:黄色=皇帝
- 西洋:紫=王族(染料が高価だった)
④ 社会的意味の積み重ね
- 日本:黒=喪服が一般化
- 欧米:白=ウェディングドレスが象徴的
色の意味は 文化の歴史的な積み重ね によるもの。
■ デザイン・ビジネスで失敗しないためのポイント
● ① 海外向けデザインでは「色」の文化差を事前に確認
特に以下は注意:
- 白
- 黄色
- 黒
- 赤
→ 文化による意味の幅が大きい
● ② ロゴ・広告の色はターゲットの文化圏に合わせる
例:
中国向け → 赤・金が強い
欧米向け → 青・緑が好まれやすい
● ③ 商品カラーは「価値観の違い」を踏まえて作る
・アジア:パステル人気
・欧米:シンプルモノトーン人気
など価値観に明確な差がある。
▼ まとめ
- 色の意味は国・地域・宗教によって全く異なる
- 白・黒・赤・黄色は文化差が特に大きい
- 歴史・気候・宗教が色の捉え方を決めている
- 海外向けデザインでは文化背景を必ず確認
- 色は“文化の鏡”であり、価値観を映し出す
色の文化差を知ると、世界の見え方が変わります。
▼ 出典・参考
- Color Symbolism in Cultures(世界色彩文化研究)
- 日本色彩学会:文化と色の関係
- 国際マーケティング色彩レポート
- 色彩心理研究論文
