【Day27】素材と色 ― 質感による色の変化

色について学ぶ30日 ― 色を知ると世界がもっと楽しくなる

【Day27】素材と色 ― 質感による色の変化

同じ色でも

  • 金属
  • プラスチック
  • ガラス

など、“素材の違い”によって色の見え方は大きく変わります。

これは 表面の反射率・光の吸収具合・テクスチャ(質感) の違いによって、
光の入り方が変化するためです。

日常のファッション、家具選び、商品デザイン、写真撮影で
「思っていた色と違う…」
と感じる原因の多くは“素材の違いによる色変化”です。

今日は、色と素材の関係を分かりやすく解説します。


■ 1. なぜ素材によって色が変わるのか?

理由は主に3つ。

● ① 光の反射の仕方が違う

  • ツルツルした素材 → 正反射
  • マットな素材 → 拡散反射

正反射(金属・ガラス)は光をそのまま跳ね返すため、
色が“鮮やか・強い”印象になる。

拡散反射(紙・布)は光が散って広がるため、
“柔らかい・落ち着いた”印象になる。


● ② 光の吸収率が違う

  • 木や布 → 光を吸収しやすい
  • 金属 → 光をほとんど吸収せず反射が強い

素材が吸収した光の量によって、色はくすんだり鮮やかに見えたりする。


● ③ 表面の凹凸が光の影響を変える

  • マット仕上げ → 色が淡く見える
  • グロス仕上げ → 濃く、鮮やかに見える

質感(テクスチャ)は色を左右する最重要ポイント。


■ 2. 素材別:色の見え方の特徴


● 布(コットン・ウール・リネンなど)

  • 光が散乱する → 柔らかい色
  • 同じ赤でも“淡く・優しい”印象
  • パステルカラーと相性が良い

衣服で“くすみがち”に見える理由はここにある。


● 紙(マット紙・光沢紙)

● マット紙

  • しっとり、落ち着いた色
  • 名刺・本・ナチュラル系デザインに最適

● 光沢紙

  • 鮮やか・はっきりした色
  • 写真印刷・広告に向いている

● 木(木目素材)

  • 温かく自然な色になる
  • ベージュ・緑・ブラウンとの相性が良い
  • 高級感と柔らかさの両方を表現できる

家具の色が“優しい”理由は木が光を柔らかく吸収するため。


● 金属(ステンレス・アルミ・鉄)

  • 光の反射が強い → 冷たくシャープ
  • 同じ青でも“硬い・クール”な印象
  • 黒は“重厚感”、銀は“未来的”になる

家電やIT製品がプリミティブな色に見えるのは素材の影響。


● ガラス(透明・半透明)

  • 光が透過 → “軽い”“清潔”“涼しい”
  • 水色や白は特に美しく見える
  • 鮮やかな色でも上品に仕上がる

ボトル製品の“高級さ”はガラスの透明感から。


● プラスチック

  • 加工によって色が大きく変化
  • マット加工 → 北欧風の柔らかい印象
  • グロス加工 → POPでおもちゃっぽい印象

安い/高いイメージが色で変わりやすい素材。


● レザー(本革・合皮)

  • 温かく深い色になる
  • 茶色や黒が高級に見える
  • エイジングで色が変化する(経年変化)

革製品の“色の育ち”は独特の魅力。


■ 3. 同じ色でも、素材によってここまで違う

例:同じ「ネイビー」の場合

素材見え方
布(コットン)柔らかい、優しい
スーツ生地大人、高級
金属冷たい、未来的
ガラス涼しい、透明感
プラスチック(光沢)子どもっぽい・POP
紙(マット)落ち着いた、北欧風

素材の違いだけで、ブランドイメージがすべて変わる。


■ 4. デザインで失敗しない素材×色の選び方


● ① “素材に合う色”を選ぶ

  • ガラス → 水色・白・透明感
  • 木 → ベージュ・緑・茶色
  • 金属 → 黒・グレー・ネイビー

素材と色がマッチすると印象が一気に上質になる。


● ② 同じ色を使う場合は「質感」を揃える

ブランドやパッケージでは

  • マットで統一
  • 光沢で統一
    が基本。

● ③ 写真撮影の時は素材を意識

光沢素材は反射の影響が大きいので、
照明・角度を工夫する必要がある。


● ④ EC商品は“素材による色の見え方”を説明すると信頼度UP

例:
「写真は白熱灯下で撮影しています」
「マット素材のため色はやや柔らかく見えます」


■ 5. 素材は“色の一部”である

色は単体では存在せず、
色 × 光 × 素材
の組み合わせで決まるもの。

素材は“色の最終形”を決定づける超重要要素です。


▼ まとめ

  • 色は素材の違いで大きく変わって見える
  • 布=柔らかい、金属=シャープ、木=自然、ガラス=透明感
  • 光沢とマットの違いは色を左右する
  • デザインでは“素材と色の相性”が最も重要
  • 色判断は「光 × 素材」を必ずセットで

素材を理解すると、色の扱いが一段レベルアップします。


▼ 出典・参考

  • 日本色彩学会「質感と色の見え方」
  • テクスチャと光学研究(Material Rendering)
  • プロダクトデザイン色彩ガイド
  • 印刷・紙質と色再現の技術書