投資を始める前に
金(ゴールド)投資の基本 Day17
投資の世界で「金(ゴールド)」は特別な存在です。株式や債券のように配当や利息を生まないにもかかわらず、世界中で何千年にもわたり通貨や価値保存の手段として利用されてきました。そのため「有事の資産」とも呼ばれ、経済危機や地政学的リスクが高まると注目されます。金は「攻める資産」ではなく「守る資産」として、資産全体を安定させる役割を担います。
金投資の方法
金投資にはいくつかの代表的な方法があります。
純金積立
毎月一定額で少しずつ購入する方法です。ドルコスト平均法の効果により、価格変動リスクを平準化しながら長期で資産形成できます。
金地金(ゴールドバー)や金貨を購入
実物を保有する最もシンプルな方法です。手元にある安心感は大きいですが、保管や盗難リスクに注意が必要です。
金ETF・投資信託
証券会社を通じて少額から投資できる手段。実物を持たずに金価格に連動した成果を得られるため、流動性が高く初心者にも人気です。
金投資のメリット
- インフレに強い
お金の価値が下がるインフレ局面では、金の価値は相対的に上がりやすい傾向があります。現金を保有するよりも購買力を守る力が強いのです。 - 世界的に流通している
金はどの国でも価値が認められており、換金性が非常に高い点が魅力です。国境を越えて資産価値を維持できるのは、他の投資対象にはない特徴です。 - 株や債券と逆の値動き
株価が下落したり、金融市場が不安定になると金価格が上昇することが多く、ポートフォリオのリスク分散に効果的です。
金投資のデメリット
保管コスト
金地金を現物で保有する場合は、金庫や貸金庫などの保管費用がかかります。また盗難リスクも考慮する必要があります。
利息や配当が発生しない
金を持っていてもキャッシュフローは生まれません。長期保有しても資産が「育つ」わけではない点に注意が必要です。
価格変動リスク
有事や投機的な動きで短期的に大きく値動きすることがあります。長期的には価値を保つ資産ですが、短期投資には不向きです。

金投資の位置づけ
金は「資産を増やすための投資」ではなく「資産を守るための投資」といえます。リスク資産である株や不動産の比率が高い場合、金をポートフォリオの一部に加えることでバランスを取り、リスクを緩和する効果が期待できます。たとえば、資産の5〜10%を金に配分するのは世界的にも一般的な戦略です。
まとめ
金投資は利息や配当を生まないものの、インフレや金融危機に強く、資産の安定化に役立つ「守りの資産」です。現物・ETF・積立といった投資方法を組み合わせ、自分の目的やライフスタイルに合った形で活用することが重要です。特に長期的な視点での分散投資の一部として、金は強力な選択肢となります。
📚 出典
- 世界ゴールド協会(World Gold Council)「Gold as an investment」
https://www.gold.org/ - 金融庁「資産運用の基本」
https://www.fsa.go.jp/teach/