【Day25】色とデザインの失敗例 ― やってはいけない色使い

色について学ぶ30日 ― 色を知ると世界がもっと楽しくなる

【Day25】色とデザインの失敗例 ― やってはいけない色使い

「色を使えばオシャレになる」「目立たせれば良い」
と思ってしまいがちですが…

実はデザインの世界では、
“やってはいけない色使い”がはっきり存在します。

これを知らないと、

  • 読みにくい
  • 信頼感が落ちる
  • 安っぽく見える
  • 情報が伝わらない
  • クリックされない

という大きな損失につながります。

今日は、プロの現場で絶対に避ける「色の失敗例」と
分かりやすい改善ポイントを紹介します。


■ 1. 色を使いすぎる(多色使いの失敗)

初心者の最大の失敗がこれ。

何色も使ってしまう → 情報が散乱する。

例:

  • チラシに赤・青・緑・黄色・紫が全部入っている
  • バナーがカラフルで読みにくい
  • パワポ資料が子ども向けのようになってしまう

● 改善

3色+無彩色(白・黒・グレー) に抑える
(Day16の黄金比:70 / 25 / 5)


■ 2. コントラストが弱すぎて読めない

ありがちな例:

  • 薄い黄色 × 白文字
  • 明るい緑 × 黄色文字
  • 水色 × 明るいグレー文字

画面では特に“光の影響”で読みにくくなります。

● 改善

文字:背景 = 明確な明暗差をつける
→ 特に白背景には黒か濃グレーが基本


■ 3. 補色を強い彩度でぶつけてしまう

代表例:

  • 赤 × 緑
  • 青 × オレンジ
  • 紫 × 黄色

補色は目立つ分、
彩度が高いまま使うと“喧嘩する” ため目が疲れます。

● 改善

→ どちらかを くすませる(低彩度化)
→ 明度を変えて緩和する
→ アクセントに少量だけ使う


■ 4. ブランドイメージと色がズレている

例:

  • 高級ブランドなのに黄色メイン
  • 医療サイトなのに黒×赤で不安
  • 子ども向けなのに青×黒で冷たい印象

色は「性格」。
ブランド性格と色が合わないと、信頼が落ちます。

● 改善

→ Day21の“ブランドカラー分析”を使う
→ ブランドの人格(キャラ)を色に落とし込む


■ 5. 背景画像と文字色が溶け込む

ありがち失敗:

  • オシャレな背景写真に白文字で可読性ゼロ
  • 彩度の高い布写真の上に小さな文字

写真 × 文字は特に注意。

● 改善

  • 写真に 半透明の黒 or 白の幕 を乗せる
  • 文字に影(シャドウ)を足す
  • そもそも文字部分は写真を避けるレイアウトに

■ 6. 意味を持つ色を“無意識”に使っている

色には文化的・心理的意味があります(Day7〜Day14)。

失敗例:

  • 注意喚起を黄色ではなく、優しい緑で書いてしまう
  • ボタンを赤にした結果、「削除」と誤認される
  • 医療系サイトのCTAが黒で不安感を与える

● 改善

→ 色の心理・文化的意味を必ずチェック
→ 「なぜこの色を使うのか」説明できる状態にする


■ 7. 色温度がバラバラ(暖色と寒色が不調和)

例:

  • 暖色系の写真の中に突然寒色のボタン
  • 全体が青いのに一部だけ朱色で浮く
  • 和風デザインにネオンブルー

色温度のズレは、統一感を破壊します。

● 改善

→ 暖色なら全体を暖色よりに寄せ、寒色は控えめに
→ 写真の色味を整える(レタッチ)


■ 8. “安っぽく見えてしまう”典型パターン

  • 彩度MAXの原色を大面積で使う
  • 影・グラデーションを乱用
  • 塗りつぶしの色が強すぎる

● 改善

落ち着いたトーン(くすみ・淡色) を使う
→ カラーパレットを統一


■ 9. 楽しいデザインにしたいのに“うるさい”仕上がりになる

“元気さ”と“うるささ”は紙一重。

失敗例

  • カラフルすぎる子ども向けチラシ
  • 色の方向性が定まらない雑誌の企画バナー

● 改善

→ 彩度を揃える
→ トーン(Day5)を統一
→ カラフルにしたい場合でも 3〜4色に抑える


▼ まとめ

  • 色数が多いと崩れる
  • コントラスト不足は致命的
  • 補色は強くぶつけない
  • ブランド性格と色を合わせる
  • 背景×文字は可読性最優先
  • 意味を持つ色を無意識に使わない
  • 色温度を揃える
  • 彩度過多は“安っぽさ”に直結

「色の失敗」は、知っていれば簡単に避けられます。
今日から、迷ったらこのチェックリストを思い出してください。


▼ 出典・参考

  • Web & Graphic Design Color Mistake analysis
  • 日本色彩学会「色彩設計の基礎」
  • UXデザインにおける色の最適化ガイド
  • 配色理論実践書