色について学ぶ30日 ― 色を知ると世界がもっと楽しくなる
【Day26】照明と色 ― 光による見え方の違い
同じ色でも、
照明が変わるだけで“まったく別の色”に見える
という現象をご存じでしょうか?
家の中で「この服の色こんなだったっけ?」と感じたり、
ショップで買った商品を家に持ち帰ると色が違って見えたりするのは、
光の種類によって色の見え方が変わるためです。
今日は、色と光の関係をやさしく解説し、
インテリア・ファッション・写真・デザインに役立つポイントを紹介します。

■ 1. 光が色を決める(色は“光の反射”で決まる)
そもそも色は、
物体がどの波長を反射するか で決まります。
たとえば赤い物体は、
- 赤い光 → 反射
- それ以外の光 → 吸収
という性質を持っています。
つまり 光の種類が変わると反射する光も変わり、色が変わって見える のです。
■ 2. 照明の種類でどのように色が変わる?
● ① 昼光色(6500K前後)
青みがかった白い光
- クール
- シャープ
- 清潔感
→ 青・白がはっきり見える
→ 肌はやや青白く見える
オフィスや病院で使われることが多い。
● ② 昼白色(5000K前後)
自然光に最も近いバランスの取れた光
- ニュートラル
- 商品の色が正確に見える
→ 家のメイン照明に最適
昼間の太陽光に最も近い。
● ③ 電球色(2700〜3000K)
オレンジ〜黄色っぽい温かみのある光
- リラックス
- 柔らかい
- 暖かい印象
→ 肌がきれいに見える
→ 赤・オレンジが鮮やかに見える
→ 青・緑はくすんで見える
飲食店・カフェ・リビングで使われる理由がここにある。
● ④ LEDの演色性(Ra値)
LEDは 同じ色温度でも色の再現性が異なる。
演色性(CRIとも呼ばれる)
- Ra 80 → 一般的
- Ra 90以上 → 色再現性が非常に高い(高級店舗・写真向け)
演色性の低い照明下では、
赤やピンクがくすんだり、肌が不自然に見えたりする。
■ 3. シーン別:どの照明が最適?
● ファッション(服選び・試着室)
→ 昼白色(自然光に近い)
オレンジ照明は似合う色がわかりにくい。
● リビング・寝室
→ 電球色(温かくリラックス)
くつろぎ効果が高い。
● 料理・飲食店
→ 電球色(おいしく見える)
赤・オレンジが引き立ち、料理が美味しそうに見える。
● オフィス・勉強部屋
→ 昼光色(集中力UP)
青白い光は作業効率が上がる。
● 写真・動画撮影
→ 昼白色 × 演色性Ra90以上
肌や商品の色が正確に写る。
■ 4. 自然光でも「時間帯」で色は変わる
● 朝:青みが強い光(クール)
影が柔らかい。
● 昼:バランスの良い光(ニュートラル)
最も正確に色が見える。
● 夕方:オレンジが強い光(暖かい)
赤・黄色が映える。
青・緑はくすむ。
時間帯の光で、写真や商品の色が大きく変わる。
■ 5. 色を“正確に”見るためのポイント
- 照明は昼白色+高演色(Ra90)を中心に
- 壁・机・周囲の色が少ない場所で確認
- 商品や服の色は外の自然光でもチェック
- カーテンの色が光に影響することを意識する
- スマホ画面の色調整(色温度補正)を確認する
色判断は「光の影響」を必ず考慮する。
■ 6. 室内の雰囲気を色×光でデザインする
照明の色で、部屋の“空気”が変わる。
- 温かいカフェ風:電球色+木目家具
- 清潔感のある部屋:昼白色+白家具
- ホテルライク:電球色+黒・グレー
- 勉強がはかどる部屋:昼光色+ブルー系
光は“第2の配色”と言えるほど、空間に影響する。
▼ まとめ
- 色は光の種類で大きく変わって見える
- 昼光色=クール、昼白色=自然、電球色=暖かい
- 演色性が低い照明は色がくすむ
- 服選び・撮影・インテリアには光の選択が重要
- 部屋の雰囲気も光でデザインできる
色を見るときは必ず「光」をセットで考えると、失敗が無くなります。
▼ 出典・参考
- 日本照明学会「照明と色の見え方」
- Color Rendering Index (CRI) Study
- インテリア照明デザインガイド
- 環境光と視覚研究資料
