色について学ぶ30日 ― 色を知ると世界がもっと楽しくなる
【Day28】印刷と色 ― CMYKとRGBの違い
私たちが日常で目にする“色”は、大きく分けて 2つの方式 で作られています。
- RGB(光の三原色) → 画面の色
- CMYK(インクの三原色) → 印刷の色
この仕組みを知らないと、
「印刷したら色がくすんだ…」
「画面では鮮やかなのに紙では dull に見える」
などのトラブルが必ず起きます。
今日は、デザイン初心者でも一度で分かる
RGB と CMYK の違いと使い分け
を丁寧に解説します。

■ 1. RGBとは?(光の三原色)
R(Red)・G(Green)・B(Blue)
の 3 つの光を混ぜて色を作る方式。
使われる場所:
- スマホ
- パソコン
- テレビ
- デジタルサイネージ
- Webデザイン全般
● 仕組み
光を足していくことで色が明るくなり、
すべての光を100%重ねると “白” になる(加法混色)。
● 特徴
- 鮮やか
- 明るい
- ネオンのような色も表現できる
- 暗い色から明るい色まで幅が広い
デジタルで見る“鮮やかすぎる赤や青”は RGB 独特の表現です。
■ 2. CMYKとは?(インクの三原色)
C(Cyan)・M(Magenta)・Y(Yellow)
+
K(Black)
インク(絵の具)を混ぜて色を作る方式。
使われる場所:
- 名刺
- チラシ
- パッケージ
- ポスター
- 雑誌
- 本
- ラベル
- ほぼすべての印刷物
● 仕組み
インクを重ねるほど光を吸収し、
すべて重ねると “黒” に近づく(減法混色)。
● 特徴
- 画面より色が暗め
- 鮮やかさに限界がある
- 紙質によって色が変わる
- RGB の蛍光色は出せない
■ 3. なぜ画面の色と印刷の色が違うのか?
原因はシンプル。
● RGB = 光
→ 自己発光で明るい
● CMYK = インク
→ 光を吸収するので暗い
だから、画面で見た鮮やかさが
そのまま紙に再現されることは ほぼありません。
特に以下の色は、印刷すると “濁りやすい”:
- 蛍光のような明るい緑
- ネオンブルー
- 純粋な赤(RGB255,0,0)
- ピンク(マゼンタ寄り)
- 濃い青(深い紺色)
■ 4. デザインでの使い分け(最重要)
● ① Web・SNS・アプリ
→ RGB
理由:画面で表示されるから。
● ② 印刷物(名刺・チラシなど)
→ CMYK
理由:プリンタがインクで色を作るから。
● ③ ロゴ制作
→ RGB・CMYK・PMS(特色)すべて必要
ブランドロゴは多用途で使われるため、
両方で破綻しない色を設定する。
■ 5. RGB → CMYK の変換で起こる“色の事故”
よくあるトラブル:
● 画面のビビッドカラー → 印刷で dull に
特に紫・ピンク・ネオン系は激変する。
● 黒が“グレーっぽく”なる
ブラックは CMYK の組み合わせで濃さが変わる。
● 青が“緑っぽく”転ぶ
ディープブルーは CMYK の苦手領域。
■ 6. 印刷で失敗しないためのポイント
● ① 最初から「CMYK」で作る
RGBで作ると後で色が大きく変わる。
● ② 鮮やかすぎる色は避ける
RGB特有の蛍光色は CMYK では表現できない。
● ③ 印刷会社のカラープロファイルを使う
プロファイル(例:Japan Color)は仕上がりの色を安定させる。
● ④ 試し刷り(プルーフ)を必ず行う
印刷前に紙で確認するのが最も安全。
● ⑤ 紙質(コート・マット)で仕上がりが変わる
- コート紙 → 鮮やか
- マット紙 → 落ち着く
- 上質紙 → 吸収しやすく色が薄くなる
▼ まとめ
- RGB = 光の三原色(Web / デジタル向け)
- CMYK = インクの三原色(印刷向け)
- 同じ色でもRGBとCMYKでは大きく違う
- 印刷はくすみやすく、鮮やかさに限界がある
- ロゴや印刷物は最初からCMYKで作ると失敗がない
RGBとCMYKの違いを理解すると、
色のトラブルが激減し、デザインの品質が一気に上がります。
▼ 出典・参考
- 日本色彩学会「色再現の仕組み」
- 印刷科学基礎書(CMYKとプロファイル)
- Adobe Color Management Guide
- Web & Print Color Conversion Study
