色について学ぶ30日 ― 色を知ると世界がもっと楽しくなる
【Day5】トーンとトーンマップ ― 色の“雰囲気”をつくる方法
色を使ったデザインや写真が「なんとなくおしゃれ」に見える理由――
それは “トーン(明度・彩度のまとまり)” が整っているからです。
同じ色相(赤・青・緑など)を使っていても、
明るさや鮮やかさがバラバラだと、全体が騒がしく見えてしまいます。
逆に トーンがそろうと、統一感・世界観・雰囲気 が一気に生まれます。
今日のDay5では、初心者でも使える「トーン」の考え方と、便利な「トーンマップ」を紹介します。

■ トーン(Tone)とは何か?
トーンとは、
色の明度(明るさ)と彩度(鮮やかさ)の組み合わせによって決まる“色の雰囲気” のことです。
トーンには次のような種類があります:
● ① ビビッド(Vivid)
鮮やかでハッキリした色。ポップで元気な印象。
● ② ペール(Pale)
白を多く含んだ淡い色。柔らかくやさしい印象。
● ③ ダル(Dull)
くすんだ控えめの色。落ち着き・上品・自然な印象。
● ④ ダーク(Dark)
黒を含んだ深い色。力強い・大人っぽい・重厚な印象。
● ⑤ ライト(Light)
明るく軽い印象の色。爽やかで清潔感がある。
● ⑥ ディープ(Deep)
鮮やかで深みのある色。強い存在感と高級感。
これらは、よくファッション・資料・Webデザインの「世界観づくり」に使われています。
■ トーンがそろうと、なぜ“おしゃれ”に見えるのか?
色相(赤・青・緑など)がバラバラでも、
トーン(明度・彩度)のバランスが揃っていれば統一感が生まれます。
たとえば…
- 淡い色だけでまとめる → やさしい雰囲気
- 深みのある色だけでまとめる → 落ち着いた高級感
- ビビッドな色だけでまとめる → 元気でポップな印象
つまり、
「どんな雰囲気を作りたいか?」=「どのトーンで統一するか?」
というだけでも印象が劇的に変わります。
■ トーンマップとは?
トーンマップとは、
明度(縦軸)× 彩度(横軸) によって、色がどの位置にあるかをマッピングした表のことです。
これを見ると、
- 自分が使っている色の“雰囲気の偏り”
- 明度・彩度のバランス
- 足りていないトーン
が一目でわかります。
デザイン・資料作成・写真編集をするとき、トーンマップを意識するだけで
一気にプロっぽい配色に近づきます。
■ 実践:トーンを決めるだけで印象は変わる
● 例1:やさしい雰囲気を作りたい
→ ペールトーンで統一(淡いピンク・ミント・水色)
● 例2:大人っぽく落ち着いた印象に
→ ダーク・ディープトーンで統一(深緑、バーガンディ、ネイビー)
● 例3:元気で明るい印象に
→ ビビッドトーンを中心に(赤、黄色、青の鮮やかなトーン)
“何色を使うか”よりも、
“どのトーンで統一するか”が印象づくりのポイント といえます。
▼ まとめ
- トーン=色の“雰囲気”
- 明度×彩度で色の性格が決まる
- トーンをそろえると統一感が生まれる
- 「雰囲気づくり」にはトーンの統一が効果的
- トーンマップを使うと色の整理が簡単
色の選び方に自信がない人ほど、トーンを意識すると劇的に上達します。
▼ 出典・参考
- 日本色彩学会『配色とトーンの基礎』
- Itten 色彩論
- Adobe Color トーン分析ツール
