投資を始める前に
リバランスの重要性 Day23
投資を長く続けていると、当初決めた資産配分(ポートフォリオ)は少しずつ崩れていきます。たとえば「株式60%、債券40%」でスタートした場合、株価が好調に上昇すると株式の比率が70%を超え、債券が30%に減ってしまうことがあります。このまま放置すると、知らぬ間にリスクが高まり、自分のリスク許容度を超えた状態になってしまう可能性があります。そこで必要になるのが「リバランス」です。
リバランスとは?
リバランスとは、資産の比率を最初に決めた水準に戻す作業のことです。たとえば株式比率が増えすぎたら一部を売却して債券を買い足し、逆に債券が増えすぎたら株式を増やす、といった調整を行います。この一見地味な作業こそ、長期投資を安定させるための重要な仕組みです。

リバランスの方法
• 例:株式60%、債券40%で始めたが、株価上昇で株70%、債券30%になった場合 → 株を一部売却して債券を買い足し、最初の配分に戻す
リバランスのメリット
- リスク許容度を一定に保てる
投資はスタート時に「自分はこのくらいの値下がりなら耐えられる」というリスク許容度をもとに資産配分を決めます。しかし配分が崩れると、そのバランスも崩れます。リバランスを行うことで、リスクが当初の想定を超えないよう調整できます。 - 高くなった資産を売り、安くなった資産を買える
株価が上がって比率が増えた場合は「高くなった株を売る」ことになり、逆に値下がりして比率が減った場合は「安くなった株を買う」ことにつながります。結果的に、機械的に「安く買って高く売る」行動ができるのです。 - 感情に流されない投資ができる
人間はどうしても「もっと上がるかも」と欲をかいたり、「下がり続けるのでは」と恐怖を感じたりします。リバランスはルールに従った調整なので、感情を排して投資を続ける助けになります。
リバランスのデメリット
もちろんリバランスにも注意点があります。
タイミングの難しさ
「今はリバランスすべきか」「もう少し様子を見るべきか」と迷う人も多いでしょう。あまり頻繁に行うとコストばかりかかるので、基本は「年に1回」など定期的にスケジュールを決めて実施するのがおすすめです。
税金や手数料が発生する
資産を売却すると譲渡益に税金がかかる場合があります。また売買のたびに証券会社の手数料も必要です。
リバランスを実践するための工夫
自動リバランス機能を活用する
最近ではロボアドバイザーや一部の投資信託で、自動的にリバランスを行ってくれるサービスもあります。初心者にはこうした仕組みを利用するのも有効です。
定期的に資産状況を確認する
半年に一度、または年に一度は自分の資産配分をチェックしましょう。
一定のルールを決める
「株式比率が5%以上ずれたら調整する」など基準を設けると迷いにくくなります。
まとめ
リバランスは派手さのない作業ですが、長期投資を成功に導くカギです。放置すればリスクが膨らみ、気づかぬうちに不安定な状態になる可能性があります。年に一度でも構いません。定期的に資産配分を見直し、当初のバランスに戻すことで、安定したリターンと安心感を得ることができるのです。
👉 投資は「攻め」だけでなく「守り」の仕組みも大切です。リバランスを味方につけて、長期的な資産形成を続けましょう。
出典
- 金融庁「長期・積立・分散投資のすすめ」
- 野村アセットマネジメント「資産運用の基礎知識」
- CFA Institute「Portfolio Rebalancing」