投資を始める前に
リスクとリターンの関係 Day20
投資を語る上で避けて通れないのが「リスクとリターンの関係」です。これは投資の基本原則であり、初心者からベテラン投資家まで、すべての人が向き合わなければならないテーマです。Day5でも触れましたが、今回はより深く掘り下げて考えてみましょう。
リスクとリターンの基本原則
投資の世界では「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」という言葉がよく使われます。これは単なるキャッチコピーではなく、金融市場の本質を端的に表しています。
高いリターンを期待できる商品は、その分価格変動が大きく、損失の可能性も高い。一方で、リスクが低い商品は安定していますが、得られるリターンは限定的です。
例えば、株式は企業の成長に応じて値上がり益や配当が得られる反面、企業の業績悪化や景気後退で価格が大きく下落することもあります。逆に、国債のようにリスクが低い商品は元本の安全性が高い代わりに、利回りも数%程度と控えめです。
代表的な投資対象のリスク・リターン比較
投資対象ごとにリスクとリターンの関係を整理すると以下の通りです。
- 株式:リスク高い/リターン高い
景気や業績の変動に大きく左右される一方、長期的には右肩上がりの成長が期待できます。 - 債券:リスク低い/リターン低い
満期まで保有すれば元本と利息を受け取れる仕組み。ただし金利変動には注意が必要です。 - 不動産:中程度
安定した家賃収入が魅力ですが、流動性の低さや空室リスクも存在します。 - 金(ゴールド):守りの資産、リスクは中程度
世界的に価値が認められておりインフレに強い反面、利息や配当は生みません。 - 仮想通貨:極めて高リスク・高リターン
短期間で数十%動くこともあるほど価格変動が激しく、投機的性格が強いです。
この比較からも分かる通り、「安全かつ高リターン」という都合の良い商品は存在しません。
リスクとどう向き合うか?
投資初心者が陥りやすいのは、「リスクを完全になくすことができる」という誤解です。しかし、実際にはリスクをゼロにすることは不可能です。むしろ重要なのは「どの程度のリスクなら受け入れられるか」を理解することです。
リスクと正しく向き合うための3つのポイントがあります。
- リスク許容度を知る
投資額が10%減ったときに冷静でいられるか?この問いに対する答えが、自分に合った投資スタイルを見極めるヒントになります。 - 分散投資を行う
株式・債券・不動産・金などに分散することで、一部の資産が値下がりしても他がカバーしてくれる可能性があります。地域や時間を分けて投資することも有効です。 - 長期視点を持つ
短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、数十年単位で市場の成長を取り込むことが重要です。特にインデックス投資や積立投資は、長期で安定したリターンを得やすい手法として知られています。

まとめ
投資で成功するために大切なのは「リスクを避ける」ことではなく、「リスクを理解してコントロールする」姿勢です。自分のリスク許容度を把握し、分散や長期投資といった基本を守ることで、精神的にも安定して投資を続けられるようになります。
👉 投資の本質は「いかに負けすぎないか」。リスクを恐れるのではなく、味方につけることが投資成功への第一歩です。
📚 出典
日本証券業協会「リスクとリターン」
金融庁「初めての投資」(金融庁公式サイト)
野村アセットマネジメント「投資信託の基礎知識」