京都の世界遺産を学ぶ30日
Day6「下鴨神社 ― 糺の森と古代信仰」
こんにちは。「京都の世界遺産を学ぶ30日」シリーズの6日目です。
今回は、京都最古の神社の一つとされる 下鴨神社(賀茂御祖神社 かもみおやじんじゃ) を紹介します。
下鴨神社とは?
下鴨神社は、賀茂川と高野川の合流点に広がる「糺の森(ただすのもり)」に鎮座する古社です。創建は神代にまでさかのぼるとされ、平安京以前から賀茂氏一族によって信仰されてきました。京都に都が置かれる以前から存在していたことから、まさに「古代信仰の象徴」と言える神社です。
御祭神は賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)と玉依媛命(たまよりひめのみこと)。賀茂氏の祖神であり、京都の守護神として崇められてきました。

画像はイメージです
糺の森 ― 千年の鎮守の森
下鴨神社の特徴は、境内に広がる約12万平方メートルの「糺の森」です。うっそうとした原生林が残るこの森は、縄文時代の植生を今に伝える貴重な自然遺産でもあります。
参道を歩けば、都心にいることを忘れるほど静寂に包まれ、木漏れ日と清らかな空気が参拝者を迎えてくれます。古来、人々はこの森を「神の宿る場所」と考え、聖域として守り伝えてきました。
祭礼と信仰
下鴨神社は、京都三大祭の一つ「葵祭(あおいまつり)」の舞台でもあります。平安時代から続くこの祭礼では、勅使を中心とした行列が下鴨神社から上賀茂神社へと向かい、華やかな王朝文化を今に伝えています。
また、縁結びや安産、厄除けの御利益があるとされ、女性参拝者にも人気です。特に「相生社(あいおいのやしろ)」の縁結び祈願は、古代から続く信仰が現代に息づく好例と言えるでしょう。
建築と文化財
下鴨神社の本殿は国宝に指定され、重要文化財の建築群も多数存在します。現在の社殿は15世紀後半から16世紀にかけて再建されたもので、神社建築の伝統をよく伝えています。
朱塗りの楼門、細部に施された意匠、そして森と調和する配置は、京都の神社建築美の典型といえるでしょう。
世界遺産としての価値
1994年、「古都京都の文化財」の一つとしてユネスコ世界遺産に登録されました。下鴨神社は、古代から連綿と続く信仰を今に伝え、自然と一体化した文化的景観を守り続けている点で高く評価されています。
現代の私たちが糺の森を歩くとき、縄文以来の自然と人々の祈りが重なり合う「千年の時空」を感じることができるのです。
下鴨神社のHPはこちら→ https://www.shimogamo-jinja.or.jp/
まとめ
下鴨神社は、京都最古級の神社として古代信仰を今に伝え、糺の森という自然とともに世界遺産として守られています。華やかな葵祭だけでなく、静かな森の散策でも心を清められる特別な場所です。
次回は「上賀茂神社 ― 葵祭の舞台」を取り上げます。京都のもう一つの古社を通じて、賀茂信仰の世界を深めていきましょう。
出典
- 下鴨神社公式サイト
- 京都市公式観光情報「京都観光Navi」
- 文化庁「古都京都の文化財」