Day8「東寺 ― 五重塔と真言密教」

京都の世界遺産を学ぶ30日

Day8「東寺 ― 五重塔と真言密教」

こんにちは。「京都の世界遺産を学ぶ30日」シリーズの8日目です。
今日は京都駅からもほど近く、京都のシンボルとして親しまれる 東寺(とうじ) を紹介します。


東寺の歴史

東寺は794年、平安京遷都と同時に国家鎮護のため建立された官寺のひとつです。平安京の正門「羅城門」の東にあったことから「東寺」と呼ばれました(西側には西寺がありましたが、現在は廃絶)。

823年、嵯峨天皇から空海(弘法大師)に下賜され、真言密教の根本道場となります。以来、東寺は日本における密教の中心として大きな役割を果たしてきました。


五重塔 ― 京都のランドマーク

東寺といえば、まず思い浮かぶのが高さ約55メートルの「五重塔」です。現存するものは江戸時代に再建された5代目で、木造塔として日本一の高さを誇ります。

夜間ライトアップされる五重塔は、京都の夜景を象徴する存在。遠くからでもその姿を確認でき、まさに京都のランドマーク的存在です。内部には大日如来を中心とした仏像群が安置され、密教の宇宙観を体現しています。


謎めく密教の世界

東寺は「密教美術の宝庫」とも呼ばれます。講堂に安置される「立体曼荼羅(りったいまんだら)」は圧巻で、大日如来を中心に21体の仏像が立ち並び、密教の世界観を三次元で表現しています。

これらの仏像群は国宝に指定されており、空海の教えを具体的に可視化したものとして学術的にも芸術的にも高い価値を持っています。


東寺と市民生活

東寺は信仰の中心であると同時に、市民の暮らしとも深く結びついてきました。毎月21日に開かれる「弘法市(こうぼういち)」は骨董市や縁日として知られ、観光客や地元の人々でにぎわいます。

このように、東寺は「宗教施設」でありながら「市民の場」としても機能しており、今なお生活文化に息づいている点が特徴です。


世界遺産としての価値

東寺は1994年に「古都京都の文化財」の一部としてユネスコ世界遺産に登録されました。その理由は、密教建築と仏像群の保存状態が極めて良好であり、日本宗教史における真言密教の役割を象徴しているからです。

また、五重塔をはじめとする建築群は、日本の木造建築技術の粋を示すものとしても評価されています。


東寺のHPはこちら→ https://toji.or.jp/

まとめ

東寺は、五重塔の荘厳な姿に代表されるように、信仰と美術、そして市民文化が融合した世界遺産です。空海が広めた密教の精神を体感できる場所であり、京都を訪れる際にはぜひ外せないスポットといえるでしょう。

次回は「醍醐寺 ― 豊臣秀吉の花見と文化財の宝庫」をテーマに、その歴史と魅力を探ります。


出典

  • 東寺公式サイト
  • 京都市公式観光情報「京都観光Navi」
  • 文化庁「古都京都の文化財」