AIでなくならない仕事
Day2:AIでなくならない仕事を考える3つの視点

はじめに
AI時代に「なくならない仕事」を考えるうえで大切なのは、単に「機械に置き換えられるかどうか」ではなく、「人間にしかできない要素は何か」を見極めることです。本日は、そのための基本となる3つの視点をご紹介します。これらを押さえることで、自分の仕事やキャリアの中でどこを伸ばせばいいのか、ヒントが見えてくるはずです。
視点1:感情と共感が必要な仕事
AIは言葉を理解し、自然な文章を生成することができるようになってきました。しかし、相手の感情に寄り添い、安心感や信頼感を与えるのは人間ならではの力です。
例えば、心理カウンセラーや介護士、教師といった職業では、単なる情報のやり取りではなく「相手の気持ちを理解する力」が不可欠です。人はロボットに相談するよりも、自分を理解してくれる人間に心を開きます。この「共感」の部分は、現段階のAIがもっとも苦手とする領域です。
視点2:創造性とオリジナリティが求められる仕事
AIは既存のデータを学習し、パターンに基づいて新しいものを生み出すことが得意です。しかし、過去にない発想や体験から生まれる「独自の切り口」は、人間にしか生み出せません。
芸術家や作家、デザイナー、研究者などはこの代表例です。彼らが生み出すものは、個人の価値観や体験、文化的背景から影響を受けており、単なるデータ処理では生み出せない独創性があります。AIは模倣や補助には優れていても、「新しい時代を切り開く創造性」には限界があります。
視点3:臨機応変な判断が必要な仕事
現場での判断や、予測不可能な状況に対応する能力も、人間が優位を持つ領域です。AIは膨大なデータをもとに予測することは得意ですが、前例のない状況では柔軟性を欠くことがあります。
たとえば、災害現場での救急隊員の活動、経営者が市場や人の動きを読んで下す意思決定、交渉の場での相手の表情や声色を汲み取るスキルなどは、人間ならではの強みです。こうした「即時の判断」や「空気を読む力」は、数値やルールに基づくだけでは成り立ちません。
まとめ
AI時代において「なくならない仕事」を考えるうえで重要なのは、
- 感情と共感
- 創造性とオリジナリティ
- 臨機応変な判断力
この3つの視点です。自分のキャリアを見直す際に「この仕事のどの部分がAIに任せられるのか」「自分が磨くべき強みはどこか」を考える指針になるでしょう。
明日以降の記事では、この3つの視点をさらに掘り下げ、それぞれに関連する具体的な職種を紹介していきます。
出典
- Richard Susskind & Daniel Susskind, The Future of the Professions (Oxford University Press, 2015)
- 経済産業省「AI時代に必要となるスキルに関する調査」(2020年)