AIでなくならない仕事
Day18:デザイナー ― 感覚と流行をつかむ仕事

はじめに
ファッションやグラフィック、インテリア、プロダクトなど、デザインの領域は幅広く存在します。AIが画像生成や自動レイアウトを得意とするようになり、「デザイナーの仕事はAIに奪われるのでは?」という不安の声もあります。しかし、デザインは単なる「形」や「色」を整える作業ではなく、文化や流行を読み取り、人の感情に訴える表現です。この領域において、人間のデザイナーは今後も不可欠な存在です。
AIデザインの強みと限界
AIは大量のデザインデータを学習し、トレンドに沿ったビジュアルやレイアウトを瞬時に生成できます。効率性やコスト削減という観点では非常に有用です。
しかし、AIが生み出すデザインは「過去のデータに基づいた最適解」であり、そこに独自の視点やメッセージ性を込めるのは難しいのです。たとえば、「このブランドはどんな世界観を発信したいのか」「社会にどんな問いを投げかけたいのか」といった文脈的な要素は、人間の感性によって形づくられます。
デザイナーにしかできないこと
- 文化や流行を読み取る力
デザインは時代性と切り離せません。人々の価値観やライフスタイルを敏感にキャッチし、作品に反映するのは人間だからこそ可能です。 - 物語を表現する力
ただ美しいだけでなく「ブランドの背景」や「社会へのメッセージ」をビジュアルに落とし込む。 - 体験をデザインする力
商品や空間を通じて、使う人の感情や体験を豊かにする。 - 即興性と柔軟性
クライアントや利用者の声を直接聞き、その場で調整する対応力。 
デザインが社会にもたらす価値
優れたデザインは単なる見た目を超えて、社会や文化を変える力を持っています。アップル製品のシンプルで直感的なデザインは、世界中の人々の生活スタイルに影響を与えました。
このように、デザインは「感覚と流行を形にする力」であり、そこには人間ならではのセンスと洞察が必要です。
まとめ
AIはデザインの効率化や補助には大きな力を発揮しますが、人間の感性や流行を読み取る力を完全に代替することはできません。デザイナーは、文化や社会の動きを敏感に察知し、独自の物語を形にする存在として、AI時代にもなくならない仕事であり続けるのです。
次回は「Day19:研究者・科学者 ― 新しい仮説を立てる力」を取り上げます。
出典
- Norman, Donald A. The Design of Everyday Things (Basic Books, 2013)
 - 経済産業省「デザイン政策ハンドブック」(2020年)
 
