最初は謎だよね!よく聞くビジネス用語
Day17:エビデンス ― 根拠を示して説得する力
ビジネスの現場でよく聞く「エビデンス(Evidence)」という言葉。
会議で「そのエビデンスは?」と言われて、ドキッとした経験がある人も多いかもしれません。
エビデンスとは、主張や判断の根拠となる“証拠・データ”のことです。
感覚や思い込みではなく、事実やデータに基づいて説明することで、相手を納得させるために必要な要素です。

🔹 エビデンスの基本的な意味
エビデンスという言葉は、英語の “evidence”=「証拠」「根拠」から来ています。
ビジネスでは、単なる“証拠物”ではなく、判断や提案の裏付けとなる信頼性のある情報を指します。
たとえば――
- 「この商品は売れると思います」ではなく、
- 「市場調査の結果、30代女性の70%が購入意欲を示しました」という形。
このように、数字・実績・データといった具体的な裏付けを示すことで、言葉に説得力が生まれます。
🔹 なぜエビデンスが重要なのか
現代のビジネスでは、感覚ではなくデータで語ることが求められます。
情報が氾濫する時代だからこそ、「根拠のある意見」だけが信頼されるのです。
特に、プレゼン・報告・提案の場では、次のような構成が基本です。
結論(主張)+ エビデンス(根拠)+ 補足(事例・分析)
この構成を意識するだけで、話の筋が通り、聞き手の納得感が大きく変わります。
🔹 エビデンスの種類
ビジネスで使われるエビデンスには、主に以下の3種類があります。
- 定量的エビデンス(数値データ)
売上データ、市場調査結果、アクセス数、アンケート統計など。
→ 客観的で説得力が高い。 - 定性的エビデンス(事例・体験)
顧客の声、ユーザーインタビュー、実際の成功・失敗例など。
→ 感情やリアリティを補う効果がある。 - 専門的エビデンス(外部権威の引用)
業界レポート、学術論文、専門家の意見など。
→ 信頼性を高める裏付けとして有効。
この3つをバランスよく使うことで、単なる意見ではなく「根拠のある提案」ができます。
🔹 よくある間違い
- データの出典があいまい
「社内で聞いた話です」などでは信頼されません。必ず出典を明示。 - 自分に都合の良いデータだけ使う
反対意見やリスク要因も含めて説明することで、公正性が増します。 - 古い情報をそのまま使用する
特にマーケティングやテクノロジー分野では、1年前のデータでも現状に合わないことがあります。
🔹 現場での使われ方
ビジネス現場では、次のような会話で使われます。
「この施策の効果を示すエビデンスを出してください。」
「エビデンスがないと説得力が弱いですね。」
つまり、「主張に裏付けを与えるための根拠」という意味で用いられます。
口頭だけでなく、資料・報告書・メールなど、あらゆる場面で求められるスキルです。
🔹 エビデンスを扱う力とは
単に「データを集める」だけでなく、そのデータをどう読み解くかも重要です。
たとえば、数字を引用する際には次の視点を持ちましょう。
- そのデータの信頼性は?(出典・調査方法)
- 自分の主張にどう関連する?
- どんな解釈ができる?
エビデンスは“事実”そのものではなく、“事実をどう活かすか”で価値が決まります。
🔹 まとめ
エビデンスとは、事実やデータに基づいて説得力を高めるための根拠。
「意見ではなく、根拠で語る」姿勢が、信頼を生み、誤解を防ぎます。
感覚よりもデータ、主観よりも客観。
エビデンスに基づいた説明ができる人は、どんな職場でも“信頼される人”なのです。
📚 出典
- 経済産業省「データ駆動型経営推進ガイドライン」
- 日本能率協会『根拠を示して伝える技術』
- Harvard Business Review “Evidence-Based Management: Why Facts Matter”
