最初は謎だよね!よく聞くビジネス用語
Day23:ダイバーシティ ― 多様性が生み出す組織の力
「ダイバーシティ(Diversity)」という言葉は、ニュースや企業理念などでもよく見かけます。
しかし、「多様性を尊重しましょう」と言われても、実際に何をすればよいのかピンとこない人も多いのではないでしょうか。
ダイバーシティとは、性別・年齢・国籍・文化・価値観など、さまざまな違いを受け入れ、活かすことを指します。
つまり「違うことを問題にする」のではなく、「違うからこそ生まれる力を活かす」という考え方です。

🔹 ダイバーシティの基本的な意味
“Diversity” は英語で「多様性」を意味します。
もともとは人種・ジェンダーなど社会的な差別をなくすための考え方として広まりましたが、
今では「多様な人材を活かす経営戦略」として、ビジネスの中心的テーマにもなっています。
ダイバーシティを実践することで、組織は新しい視点を得て、創造性やイノベーションを高めることができます。
🔹 なぜ今、ダイバーシティが重要なのか
かつての日本企業は、「同じ文化・同じ価値観の人たち」が一緒に働くことが多く、
一体感は生まれやすい反面、新しい発想が生まれにくいという課題がありました。
しかし、ビジネス環境がグローバル化し、価値観が多様化した現代では、
「違いを排除する組織」は時代に取り残されてしまいます。
ダイバーシティ経営は、“違い”を競争力に変えるための戦略なのです。
🔹 ダイバーシティの3つの軸
- 属性の多様性(Demographic Diversity)
性別、年齢、国籍、障がいの有無など、目に見える違い。 - 経験の多様性(Experiential Diversity)
職歴、学歴、業界経験、働き方などの違い。 - 価値観の多様性(Cognitive Diversity)
考え方、感じ方、意思決定のスタイルなど、内面的な違い。
特に3つ目の「価値観の多様性」が、イノベーションを生み出す鍵になります。
🔹 ダイバーシティの効果
ダイバーシティを取り入れた組織では、次のような効果が見られます。
- 創造性の向上:異なる視点が交わり、新しい発想が生まれる。
- 問題解決力の強化:多角的なアプローチで課題を捉えられる。
- 社員の満足度向上:自分らしく働ける環境が生まれる。
- 採用競争力の向上:幅広い人材を惹きつける企業文化が育つ。
多様性は「組織を強くするエンジン」と言えるでしょう。
🔹 インクルージョンとの関係
最近では「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」という言葉でセットで使われます。
- ダイバーシティ:多様な人を「受け入れる」
- インクルージョン:多様な人が「活躍できる」状態をつくる
つまり、受け入れるだけでは不十分。
誰もが意見を出せる「心理的安全性のある職場」をつくることが、真のダイバーシティ経営なのです。
🔹 現場での使われ方
「ダイバーシティ推進室を設置しました。」
「多様性を活かす組織文化を育てたい。」
このように、採用・人事・組織開発の文脈で使われることが多いです。
また、チーム単位でも「メンバーの違いを強みに変える」意識が重視されています。
🔹 まとめ
ダイバーシティとは、違いを受け入れ、その違いを強みに変えること。
単なる社会的配慮ではなく、組織の競争力を高める経営戦略です。
一人ひとりが自分らしく働ける職場こそ、チームが最大の力を発揮できる場所。
“みんな同じ”ではなく、“みんな違って、だから強い”。
これこそが、ダイバーシティの真の価値です。
📚 出典
- 経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」
- 厚生労働省「ダイバーシティ推進のためのガイドライン」
- Harvard Business Review “Why Diverse Teams Are Smarter”
