知っておきたい「ことわざ」30選

Day23：「笑う門には福来る」― 笑顔が幸せを呼び込む

「笑う門には福来る（わらうかどにはふくきたる）」ということわざは、
「いつも笑顔でいる家庭や人のもとには、自然と幸福がやってくる」という意味です。

笑いには、単に楽しい気分になるだけでなく、
人をつなぎ、心を軽くし、運を呼び込む力があります。

忙しさやストレスで笑うことを忘れがちな現代だからこそ、
この言葉が改めて心に響きます。

この言葉は、日本古来の“福を呼ぶ笑顔”の文化から生まれました。
平安時代の貴族たちは「笑うことは吉兆を招く」と信じ、
新年や祝いの場では笑い声を交わす風習がありました。

江戸時代になると庶民のあいだでも、
「笑い」は縁起の良い行動とされ、年の初めに笑う「初笑い」という風習が定着。
そこから、「笑う門には福来る」という言葉が全国に広がりました。

つまりこのことわざは、**“笑うこと＝幸運を呼び込む行為”**という
日本の心豊かな生活観を表しています。

近年、医学や心理学の分野でも「笑いの効果」が注目されています。

・ストレスホルモンが減少し、免疫力が高まる
・笑顔の表情筋が脳を刺激し、ポジティブ思考を促す
・血行が良くなり、自律神経が整う

つまり、「笑う」という行為自体が心身の健康に直結しているのです。
まさに“笑うだけで得をする”最高の健康法といえるでしょう。

職場での印象や人間関係にも、笑顔は大きな影響を与えます。

・笑顔の人には相談しやすく、信頼されやすい
・商談や接客でも、相手の緊張を和らげる
・チームの雰囲気が良くなり、生産性も向上する

笑顔は、言葉を超えた“非言語のコミュニケーション力”です。
「表情が変われば、結果も変わる」――
これは多くの成功者が体感している真理です。

笑顔は“自分の心を整えるスイッチ”。
無理に笑うのではなく、笑顔の時間を少しずつ増やすことから始めてみましょう。

「笑う門には福来る」は、ただの縁起の良い言葉ではありません。
それは、笑顔を通して人生を豊かにする生き方の知恵です。

笑うことで、福を呼び、周囲を明るくし、自分自身も癒される。
どんなときも、笑顔を忘れない人のところに幸運は集まります。

今日もあなたの笑顔が、誰かの心を照らしますように――。

・『故事ことわざ辞典』（小学館）
・『日本の縁起と風習』（NHK出版, 2010）
・植木理恵『「笑い」と心理学』（講談社現代新書, 2018）