色について学ぶ30日 ― 色を知ると世界がもっと楽しくなる
【Day1】色とは何か ― 光と人の目の関係
私たちが見ている「色」は、物の表面に塗られている“物質の色”ではありません。
実は 光が物体に当たり、反射された波長を人の目が受け取ることで生まれる現象 です。
太陽光や照明の光は「白色光」と呼ばれ、その中には様々な波長の光が含まれています。
白い光が物体に当たると、一部の波長は吸収され、残った波長だけが反射されます。
その反射された光を目が捉えることで、私たちは「赤い」「青い」「緑の」と認識しています。

■ 色は“物体の性質”ではなく“光の現象”
たとえばリンゴが赤く見える理由は…
- リンゴの表面が 赤い波長だけを反射 する
- それ以外の波長は 吸収 される
- 反射された赤い光が 目に届く
この仕組みによって、リンゴは私たちに「赤く」見えます。
もし赤色の波長が弱い照明の下では、リンゴが暗い色に見えることもあります。
つまり色は、
光 × 見る環境 × 人間の視覚
が組み合わさってはじめて成立するのです。
■ 人間の目が色を感じるしくみ
人の網膜には「錐体(すいたい)細胞」と「桿体(かんたい)細胞」という二種類の視細胞があります。
● 錐体細胞(色を感じる細胞)
- 明るい場所で働く
- 赤・緑・青の3種類がある
- → RGB(三原色)方式のルーツ
● 桿体細胞(明るさを感じる細胞)
- 暗い場所で働く
- 色の識別はほとんどできない
夜になると色が見えにくくなるのは、桿体細胞が主に働くためです。
■ 光の環境で色の見え方は変わる
私たちは「同じ色」に見えていても、環境によって見え方は驚くほど変わります。
- 朝と夕方
- 自然光と蛍光灯
- スマホ画面と紙の上
- 写真と実物
これらはすべて異なる“光の条件”で色を見ているため、印象が微妙に変わります。
デザイン、印刷、カメラ、ディスプレイづくりなどの専門分野では、
「どんな環境でも同じ色に見えるようにする」
ための技術が不可欠です。
■ 色を学ぶことは、世界を理解すること
色を理解するということは、
科学・感覚・文化、すべてを学ぶこと につながります。
- 科学 → 光や波長、視覚の仕組み
- 感覚 → 明るさや心の反応
- 文化 → 伝統色、ファッション、デザインの文脈
色は、ただ“目に見えるもの”ではありません。
光の性質、人の感覚、文化的背景などが複雑に絡み合った、とても奥の深い分野です。
これから30日間のブログでは、
色の基本から、心理効果、文化的背景、生活への応用 まで、
日常に役立つ「色の教養」を楽しく学んでいきます。
▼ まとめ
- 色は光の反射によって生まれる現象
- 物体そのものに“色”がついているわけではない
- 人間の視細胞(錐体・桿体)が色の認識を支えている
- 光の環境によって色は大きく変わって見える
- 色を学ぶことは、世界を立体的に捉えることにつながる
▼ 出典・参考
- 日本色彩学会『色彩の科学』
- Adobe Color「光の三原色」
- NHK for School「光と色のひみつ」
