色について学ぶ30日 ― 色を知ると世界がもっと楽しくなる
【Day3】色相・明度・彩度 ― 色を決める3つの要素
色を理解するうえで欠かせないのが、
「色相」「明度」「彩度」 の3つの要素です。
この3つをおさえると、
「なぜ同じ赤でも印象が違うのか」
「どうして淡いピンクと濃い赤が生まれるのか」
といった疑問が一気に解消されます。
デザイン・写真・ファッションなど、あらゆる色づかいの基礎になる大切な概念です。

■ 色相(Hue)とは?
色相とは “色みそのもの” を表す言葉です。
- 赤
- 黄
- 緑
- 青
- 紫
など、「何色か?」を決めるのが色相です。
カラーホイールを見ると、色相が円形に並び
赤 → オレンジ → 黄 → 緑 → 青 → 紫 → 赤
のように連続して変化します。
同じ“赤”でも、
少し黄色に寄ると「赤みのオレンジ」
青に寄ると「赤紫」
といった微妙な違いが生まれます。
■ 明度(Value / Brightness)とは?
明度は “色の明るさ” を示します。
- 白に近づく → 明度が高く、明るい色
- 黒に近づく → 明度が低く、暗い色
同じ赤でも
- 明るい赤 → ポップ・軽やか・親しみやすい
- 暗い赤 → 深み・重厚・大人っぽさ
と印象が大きく変わります。
明度は色の“雰囲気”を決定づける重要な要素です。
■ 彩度(Saturation)とは?
彩度は “色の鮮やかさ・くすみ” を表します。
- 彩度が高い → 鮮やか、ビビッド
- 彩度が低い → くすんだ、落ち着いた、グレイッシュ
同じ青でも、
- 鮮やかな青 → 海や空のようにクリア
- くすんだ青 → デニムや北欧カラーのように上品
彩度は「色の元気さ」を左右するため、ファッションやインテリアで非常に重要です。
■ 3つの要素がそろうと「色は立体的に理解できる」
色相・明度・彩度をまとめると、色は次のように変化します。
- 色相:色の種類(赤・青・緑など)
- 明度:明るい/暗い
- 彩度:鮮やか/くすんでいる
たとえば「ピンク」という色は、
- 色相:赤
- 明度:高い(赤+白)
- 彩度:中〜高
という特徴があります。
逆に「バーガンディ」は、
- 色相:赤
- 明度:低い(暗め)
- 彩度:低〜中
という、まったく別の表情を持つ赤になります。
3つの要素を理解すると、色は“無限のバリエーション”を持つことが分かります。
■ デザインや写真が“洗練されて見える理由”
プロのデザイナーやフォトグラファーは、
色相・明度・彩度をコントロールして統一感を作ります。
● 例1:世界観を統一したいとき
→ 彩度をそろえる
→ 明度を近づける
● 例2:主役と背景の差をつけたいとき
→ 主役は高彩度
→ 背景は低彩度+高明度
たったこれだけで、画面が驚くほど見やすくなります。
▼ まとめ
- 色相:色の種類
- 明度:明るさ
- 彩度:鮮やかさ
- この3つで色が決まる
- 印象をコントロールすることで、デザインや写真が洗練される
今日の内容は、色を扱うすべての分野の「基本の基礎」。
ここが分かると、明日から色の見え方がガラッと変わります。
▼ 出典・参考
- 日本色彩学会『色彩の基礎と応用』
- Bauhaus 色彩論
- Adobe Color ガイドライン
