色について学ぶ30日 ― 色を知ると世界がもっと楽しくなる
【Day14】西洋の色彩文化 ― 歴史・宗教・芸術がつくる色の意味
西洋(ヨーロッパ)の色文化は、日本とはまったく異なる歴史を持っています。
宗教(キリスト教)、王権、貴族文化、絵画、ファッションなどの影響を色が受け、
象徴性・階級性・普遍的なルール が強く現れているのが特徴です。
私たちが今“当たり前”だと思っている色のイメージの多くは、
実は西洋の色彩文化に由来しています。
今日は、そんな西洋色彩の源流と意味を分かりやすく紹介します。

■ 西洋の色文化の特徴
● ① 宗教(キリスト教)が色の意味に強く影響
西洋では何世紀にもわたり、教会が色の意味づけを主導してきました。
- 白:純潔、神聖、光
- 黒:罪、喪、禁欲
- 赤:血、犠牲、愛
- 青:聖母マリア、信仰、保護
- 紫:王権、神聖、儀式
特に青が「聖母マリアの色」とされ、特別な敬意を持つ色になったのは、西洋独自の文化です。
● ② 絵画と芸術が色の価値を高める
中世〜ルネサンス期の絵画では、色は“価値のある素材”でした。
- ウルトラマリン(ラピスラズリ):黄金より高価
- 赤の顔料(コチニール):貴族の証
- 金箔:神聖性の象徴
色は“お金と権力”を象徴し、画家にとっても特別な存在でした。
● ③ 王権・貴族文化
ヨーロッパでは、時代によっては色の使用が法律で決められていました。
例:
- 紫は王族だけが身に付けられる
- 赤い靴は高位の者のみ
- 紺色の服は富裕層の証
色は“階級を示す記号”として強い意味を持っていたのです。
■ 西洋文化での代表的な色の意味
● 白(White)
純潔・神聖・始まり
- 花嫁衣裳
- 洗礼式
- 天使の象徴
白に「純潔」の意味を付けたのはキリスト教文化の影響です。
● 黒(Black)
喪・重厚・権威
- 喪服
- 司祭の衣
- ルネサンス以降は「強い権威の服装」としても定着
黒は“静けさと厳かさ”を併せ持つ特別な色。
● 青(Blue)
信仰・平和・高貴
聖母マリアが青い衣を着て描かれることが多く、
「保護」「平和」「神聖」を象徴する色になりました。
現代でも、企業ロゴや国家旗に青が多いのはこの影響が大きいです。
● 赤(Red)
情熱・愛・犠牲・権力
キリストの血を象徴し、
“愛と犠牲”という強い二面性を持つ色。
ローマ法王の赤、枢機卿の赤い衣など、宗教儀式でも重要な役割があります。
● 紫(Purple)
王権・尊厳・霊性
古代ローマやビザンツ帝国で「紫は皇帝の色」と定められ、
高貴・神聖の象徴として扱われ続けています。
現代のヨーロッパでも、格式ある式典では紫がよく使われます。
■ 西洋の色彩文化が現代に与えている影響
- 国旗 → 赤・白・青(自由・信仰・尊厳の象徴)
- ブランド → 黒(高級)、青(信頼)、赤(情熱)
- ファッション → 喪服は黒、ウエディングドレスは白
- 絵文字 → ハートの色の意味(赤=愛)
私たちの“色の常識”の多くは、西洋文化の価値観がルーツです。
■ デザインへの応用例
- 信頼性を高めたい → 青
- 高級感を出したい → 黒 × 金
- 盛大・格式ある印象 → 紫
- 温かさ・情熱 → 赤
- 清潔感・素直さ → 白
色の意味を理解して使うだけで、
デザインの説得力が格段に上がります。
▼ まとめ
- 西洋の色文化は宗教・絵画・王権の影響が強い
- 青=神聖、白=純潔、黒=喪、赤=犠牲・愛、紫=高貴
- 色は階級や権威を示す重要な記号だった
- 現代のロゴ・服・国旗の色もこの影響を受けている
- 色の象徴性を知ると、配色に“意味”が宿る
西洋の色は「物語を背負った色」といえます。
文化の背景を知ると、色の見え方がより深くなるでしょう。
▼ 出典・参考
- 『色彩の西洋史』(美術出版社)
- 色彩象徴辞典(Thames & Hudson)
- PANTONE カラーマテリアル
- ルネサンス絵画の色材に関する学術資料
