知ってないとヤバい?標識を学ぶ30日
Day8:通行止め ― 災害・工事・緊急時にだけ現れる“最強レベルの規制標識”
道路上の規制標識の中でも、もっとも強力な通行制限を示すのが「通行止め」です。
赤い丸の中に白い斜線が入った標識で、
“ここから先はどんな車両も歩行者も入ってはいけません”
という意味を持っています。
進入禁止や車両進入禁止よりも強力で、
「道路として機能していない状態」 を表す、特別な規制標識です。
災害や工事で突然設置されることが多く、判断を誤ると危険な状況に巻き込まれる可能性があります。
Day8では、この「通行止め」標識の本当の意味と、絶対に守るべきポイントを詳しく整理します。

◆ 1.通行止め=人も車も何も通れない“完全封鎖”
通行止めは、次のものすべてが通れません。
● 自動車
● バイク・原付
● 自転車
● 歩行者
つまり、「歩行者ならOK」「自転車なら通れる」という解釈はすべて誤りです。
他の進入禁止系標識と比べても別格の存在で、
道路としての安全性が確保できないための“完全封鎖” が前提です。
◆ 2.通行止めが設置される主な理由
通行止めは、以下のような危険が発生しているときに設置されます。
① 災害による危険
● 土砂崩れ
● 洪水・冠水
● 地震による道路陥没
● 強風・落石の恐れ
災害時は「まだ行けそう」と見えても、実際は非常に危険です。
② 工事・補修作業
道路の掘削、橋梁の補修、舗装工事などで道路の機能が一時的に失われている場合。
③ 事故処理
大規模交通事故や火災が発生した際にも、通行止めとなることがあります。
◆ 3.進入禁止(Day3)・車両進入禁止(Day7)との違い
● 通行止め
→ 「誰も」入れない(車両も歩行者も)
● 車両進入禁止
→ 車両は入れないが、歩行者は通れる
● 進入禁止
→ 特定方向から車両が入れないだけ(反対側からは通れる)
この違いを理解していないと、災害時・工事中に危険な場所へ誤って進入してしまう恐れがあります。
◆ 4.災害時の通行止めは“命を守る最後の砦”
災害時の通行止めは、特に重要な意味を持ちます。
● 冠水道路は5cmでも車が立ち往生
● 土砂崩れは見えない場所で再発する危険
● 地盤が沈下している可能性
● 見た目が大丈夫でも路面が崩れていることがある
実際、災害で亡くなったケースの中には、
「通行止めを無視して進んだ車が流される」
「迂回せず冠水道路に進入して動けなくなる」
という事故が多く見られます。
通行止めは“絶対に守るべきサイン”なのです。
◆ 5.もし通行止めに遭遇したら?(正しい対応)
- 絶対にバーやフェンスを越えない
- 補助標識に迂回路が書かれていないか確認
- ナビが案内していても標識を優先
- 作業員や警察官の誘導を最優先で従う
- 時間指定がある場合は解除時刻を確認
特にナビと現場の標識が矛盾している場合は、必ず標識優先です。
◆ 6.通行止め違反の罰則
● 違反点数:2点
● 反則金:7,000円(普通車)
ただし、災害時の場合はこれでは済まない重大事故の危険性があります。
◆ Day8まとめ
● 通行止め=車も歩行者も進めない完全封鎖
● 災害・工事・事故処理で設置
● 進入禁止・車両進入禁止よりも強力
● 災害時は命を守るサイン
● ナビより標識優先が鉄則
次回Day9は 「横断歩道 ― 歩行者優先の絶対原則」 を解説します。
■ 出典
・道路交通法 第4条・第8条
・国土交通省「道路の通行規制に関する指針」
・警察庁「災害時の交通規制」
