投資を始める前に
複利の力を学ぶ Day8
投資の世界において、最も強力な味方といわれるのが「複利(compound interest)」です。天才物理学者アインシュタインは「複利は人類最大の発明の一つ」と称したとされるほど、その効果は絶大です。単にお金を増やすだけでなく、長期的な資産形成の土台を築くのが複利の力です。
複利とは何か?
複利とは、元本に利息がつき、その利息も次の計算で元本に組み込まれる仕組みです。つまり「利息が利息を生む」状態です。雪だるまが坂を転がるたびにどんどん大きくなるように、お金も時間をかけることで加速度的に増えていきます。
たとえば100万円を年利5%で運用するとどうなるでしょうか。
- 1年後 → 105万円(5万円の利息)
- 10年後 → 約163万円
- 20年後 → 約265万円
もし単利であれば、20年間で増えるのは毎年5万円×20年=100万円で、合計200万円にしかなりません。複利では倍以上の差が生まれるのです。
複利の効果を最大化する方法

1. 早く始める
複利の最大の武器は「時間」です。仮に同じ利回り5%で運用したとしても、25歳から40年間投資を続けた人と、40歳から20年間投資をした人とでは、最終的な資産額に数倍の差が生じます。早く始めれば始めるほど、時間が雪だるまを大きく育ててくれます。
2. 長く続ける
複利の効果は短期間では実感しにくいものです。最初の10年は小さな増加に見えるかもしれませんが、20年、30年と積み重なることで「指数関数的」に資産が伸びていきます。途中でやめてしまうと、複利の本当の威力を味わう前に終わってしまいます。
3. 利益を再投資する
運用で得た利益を出金してしまうと、複利効果は半減します。配当や分配金を再投資に回すことで、利息が利息を生む好循環が生まれます。長期投資の成功者は「利益を再投資する習慣」を徹底しています。
複利が働く代表的な投資方法
- 投資信託の積立:少額からコツコツ積み立てることで、時間分散と複利効果の両方が期待できます。
- 株式投資の配当再投資:企業から受け取った配当を再び株に投資することで、保有株数を増やし、次の配当も大きくなります。
- 確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISA:非課税制度を利用しつつ長期投資を行えば、複利の力を効率的に引き出せます。
複利の落とし穴にも注意
複利は「増える」方向だけでなく、「減る」方向にも働きます。例えば、元本を失ってしまうような高リスク投資で大きな損失を出すと、その穴を埋めるのに長い時間がかかります。例えば資産が50%減少すると、元に戻すには100%の利益が必要になります。複利の力を味方につけるには「守り」も重要なのです。
まとめ
投資の世界では「時間こそ最大の資産」と言われます。複利の効果は長期でこそ真価を発揮します。早く始め、長く続け、利益を再投資する。この3つを意識するだけで、将来の資産形成は大きく変わります。
投資は一攫千金を狙うギャンブルではなく、複利の力を味方につけて「ゆっくりと、しかし確実に」資産を育てる行為です。
📚 参考文献・出典
Benjamin Graham『賢明なる投資家』
金融庁「つみたてNISAの概要」 https://www.fsa.go.jp/
Investopedia: Compound Interest https://www.investopedia.com/terms/c/compoundinterest.asp