投資を始める前に
アクティブ投資とは Day11
前回紹介した「インデックス投資」は、市場全体の平均的な成長を取り込むシンプルで低コストな投資方法でした。それに対して、より高いリターンを目指す投資スタイルが 「アクティブ投資」 です。アクティブ投資は、プロのファンドマネージャーが銘柄を厳選し、市場平均を上回る成果を目標に運用する方法です。
アクティブ投資の仕組み
アクティブファンドでは、運用チームが企業の業績、経済状況、トレンド、さらには経営者の資質まで徹底的に調査します。その上で、成長が期待される銘柄や割安な銘柄を組み合わせ、より高いリターンを狙います。
例えば、AI(人工知能)、再生可能エネルギー、バイオテクノロジーといった成長分野に集中投資することも可能です。市場全体ではなく特定のテーマやセクターに絞り込めるのは、アクティブ投資ならではの魅力です。

アクティブ投資のメリット
テーマ投資ができる
「環境に貢献する企業を応援したい」「テクノロジーの成長を取り込みたい」といった投資家の価値観を反映させやすい点も強みです。
市場平均を超えるリターンを狙える
市場が全体的に低迷していても、特定の企業や分野は大きく成長する可能性があります。そうした「勝ち組」に集中投資できれば、インデックス投資以上の成果を得られることもあります。
アクティブ投資のデメリット
もちろん、メリットばかりではありません。
運用者の力量に依存する
ファンドマネージャーの選択が成果を大きく左右します。同じアクティブファンドでも運用者が変わると結果が大きく異なるケースも少なくありません。
コストが高い
アクティブ運用には調査や分析のコストがかかるため、信託報酬(運用手数料)はインデックスファンドより高めです。
成果が安定しない
短期的に成功するファンドもありますが、長期的には多くのアクティブファンドが市場平均に負けているというデータがあります。S&P Dow Jones Indicesが公表している「SPIVAレポート」では、10年以上の期間で見た場合、アメリカ市場の大多数のアクティブファンドがS&P500(市場平均)を下回っていることが報告されています。
実際のデータでは、多くのアクティブファンドが長期的にはインデックスに負けています。
アクティブ投資とどう向き合うか
「じゃあアクティブ投資は意味がないの?」と思うかもしれません。しかし一概にそうとも言えません。例えば、特定の企業やテーマを応援したい場合や、余裕資金で新しい分野にチャレンジしてみたい場合には、投資の楽しみを広げてくれる選択肢になります。
また、インデックス投資を資産形成の「土台」として活用しつつ、その一部をアクティブファンドに振り分けるという方法もあります。これなら安定と挑戦のバランスを取りながら投資を続けられます。
まとめ
- アクティブ投資 は、市場平均を上回るリターンを狙う投資スタイル。
- メリット:高リターンの可能性、テーマや分野に集中投資できる。
- デメリット:コストが高く、長期的には平均以下の成果に終わることも多い。
- 活用法:インデックス投資と組み合わせて「資産の一部」で試すのが現実的。
📚 参考文献・出典
- 金融庁「投資信託の基礎知識」 https://www.fsa.go.jp/
- S&P Dow Jones Indices: SPIVA U.S. Scorecard https://www.spglobal.com/spdji/
- ジョン・C・ボーグル『インデックス投資は勝者のゲーム』