投資を始める前に
不動産投資の基本 Day16
株式や債券と並ぶ代表的な投資手法の一つが「不動産投資」です。これはマンションやアパート、戸建て住宅、オフィスビルなどの物件を購入し、賃貸収入や将来的な売却益を得ることを目的とする投資です。不動産は「実物資産」である点が大きな特徴で、金融商品のように数字上のやり取りだけでなく、実際の土地や建物という形で価値を持つ点が安心感を与えます。
不動産投資のメリット
- 安定したキャッシュフロー
賃貸物件を所有していれば、毎月の家賃収入が定期的に得られます。株式の配当や債券の利息と比べても、生活費やローン返済の一部を賄えるような「収入源」として機能するのが魅力です。 - インフレに強い資産
物価が上がると不動産価格や家賃も上昇する傾向があります。そのためインフレ局面では現金や預金よりも価値が目減りしにくいとされ、長期的に資産を守る手段となります。 - 売却益の可能性
都市部の再開発や人口増加エリアの物件は、購入時よりも高値で売却できるケースがあります。株式のキャピタルゲインと同様に、資産価値の上昇を取り込める点は投資家にとって大きな魅力です。
不動産投資のデメリット
流動性の低さ
株や投資信託のようにすぐ売却して現金化できるわけではなく、物件を売るには時間と手続きが必要です。急な資金需要に対応しにくい点もデメリットです。
初期投資額が大きい
一般的に数百万〜数千万円の物件価格が必要です。住宅ローンを活用するケースも多いですが、他の金融資産に比べて参入ハードルが高めです。
空室リスクと維持費
入居者がいなければ家賃収入はゼロになります。また、修繕費や固定資産税、管理費用など定期的な支出もあり、収益計算を誤ると赤字になる可能性もあります。

新しい不動産投資の形
近年は、従来の「現物不動産投資」だけでなく、少額から始められる仕組みも増えています。
- REIT(不動産投資信託)
投資家から集めた資金をプロが運用し、オフィスビルや商業施設、物流倉庫などに投資する仕組み。株式と同じように証券取引所で売買でき、少額から始められる手軽さがあります。 - 不動産クラウドファンディング
インターネットを通じて少額(1万円〜10万円程度)から不動産投資に参加できるサービス。物件ごとのプロジェクトに出資し、配当や売却益をシェアします。初心者が不動産のメリットを取り込みやすい選択肢です。
不動産投資の位置づけ
不動産は「資産を大きく増やす手段」というよりも、「資産の安定化」や「インフレ対策」に向いている投資対象です。株や債券に比べて流動性は低いですが、実物資産ならではの安心感や長期的な収益力を持ちます。特に、分散投資の一環としてポートフォリオに加えることで、全体のリスクを抑える効果が期待できます。
まとめ
不動産投資は、安定したキャッシュフローとインフレ耐性を備えた実物資産への投資です。ただし初期費用や維持管理のリスクもあるため、現物投資だけでなくREITやクラウドファンディングなどの新しい方法を活用すると、初心者でも参入しやすくなります。資産運用の「攻め」と「守り」のバランスを考える上で、不動産は重要な選択肢のひとつといえるでしょう。
📚 出典
日本取引所グループ「REITとは」
https://www.jpx.co.jp/
金融庁「知っておきたい資産運用」
https://www.fsa.go.jp/teach/
国土交通省「不動産投資市場の現状」
https://www.mlit.go.jp/