Day10:優先道路 ― 事故の8割は“優先”の誤解から起きている

知ってないとヤバい?標識を学ぶ30日

Day10:優先道路 ― 事故の8割は“優先”の誤解から起きている

車同士の事故のうち、もっとも多いのが「交差点」での衝突。
そして、その原因の多くは “優先”の誤解 です。

横断歩道のように歩行者が優先されるケースは明確ですが、
自動車同士の優先関係は意外と複雑で、見落とすと事故につながります。

その優先関係を示す重要な標識が 「優先道路」 です。

Day10では、この標識の意味・役割・注意点をわかりやすく整理していきます。


◆ 1.優先道路=この道路を走っている車が“優先される”

優先道路標識は、
青地で中心に白いい十字が描かれた四角の標識
です。

この標識がある道路は、交差する側道より優先されます。

つまり、
● 優先道路 → 減速は必要だが停止の義務なし
● 非優先道路 → 必ず減速し、必要なら一時停止

という関係が生まれます。


◆ 2.止まれ標識がある側が“劣後”になる

交差点でよくあるパターンがこちら:

● 自分側:優先道路の標識
● 相手側:止まれ(一時停止)標識

この場合、相手側が必ず一時停止し、
あなた側が優先権を持っている形になります。

ただし、優先道路側でも減速と左右確認は必須。
“止まれが相手だから突っ込んでOK”というわけではありません。


◆ 3.優先道路は「見落とし」事故が非常に多い

優先道路の標識は、以下の理由で見落としが発生しやすいです。

● 標識が高い位置にあり見えにくい
● 交差点手前の「路面表示(ひし形)」に気づかない
● 住宅街で標識がカーブに隠れている
● 夜間で反射に気づきにくい

特に路面の菱形マークは非常に重要で、
「この先に優先道路がある」
という予告として役立ちます。


◆ 4.優先道路でも“譲るべき場面”がある

優先道路側が常に強いわけではありません。

以下の状況では譲らなければならない場合があります。

● 歩行者や自転車が横断中

→ 優先道路だろうと歩行者が最優先。

● 警察・消防・救急車が接近

→ 緊急車両優先。

● 渋滞で交差点内に進入すると塞いでしまう場合

→ 無理に前に進まないのが安全。

“優先道路=絶対的な権利”ではなく、
状況判断が必要です。


◆ 5.事故例に学ぶ ― 優先道路の誤解が生む危険

実際の事故データでは、以下のパターンが多いです。

● 側道から来た車が「優先道路に気づかず突っ込む」
● 優先道路側の車が「相手が止まるだろう」と思い込みそのまま進入
● 夜間、優先道路の路面表示を見落として衝突

特にスピードが出ている優先道路では、
“止まるだろう”という相手への過信が命取りになります。


◆ 6.優先道路では予測運転が必須

優先道路を走るときは、
● 周囲の車が標識を見落としている可能性を考える
● 側道の車の動きを注視する
● いつでも止まれるようスピードを調整する

この3つが事故防止に大きく役立ちます。


◆ Day10まとめ

● 優先道路=側道より優先される道路
● 劣後道路は一時停止・減速義務
● 路面の菱形マークは重要
● 優先道路でも歩行者は最優先
● 相手の見落としを前提にした予測運転が必要

次回Day11では、「踏切あり ― 一瞬の油断が大事故に」 を解説します。


■ 出典

・道路交通法 第36条
・道路標識令
・警察庁「交差点事故の原因分析」
・国土交通省 道路局資料