京都の世界遺産を学ぶ30日
Day12:宇治上神社 ― 日本最古の神社建築
こんにちは。「京都の世界遺産を学ぶ30日」シリーズの12日目です。
本日は、宇治市にある世界遺産 宇治上神社(うじがみじんじゃ) をご紹介します。
宇治上神社とは?
宇治上神社は、平等院のすぐ近くに鎮座する古社で、1060年頃に建立されたとされる本殿は 現存する日本最古の神社建築 です。古くは隣接する宇治神社と一体で「宇治離宮明神」と呼ばれ、平安貴族や皇室に厚く崇敬されました。
御祭神は菟道稚郎子命(うじのわけのいらつこのみこと)、応神天皇、仁徳天皇で、宇治氏や皇室と深い関わりを持つ神社です。
日本最古の神社建築
宇治上神社の本殿は、平安時代後期の1060年に建立されたと伝えられ、現存する日本最古の神社本殿とされています。三間社流造(さんげんしゃながれづくり)の本殿は、三つの内殿を横並びにした珍しい構造で、国宝に指定されています。
また、拝殿も鎌倉時代の建築で、国宝として残されており、古代から中世にかけての神社建築の発展を知るうえで極めて貴重です。

画像はイメージです
清らかな水と信仰
境内には「桐原水(きりはらすい)」と呼ばれる湧水があり、古来より「宇治七名水」のひとつに数えられてきました。現在も唯一残る名水として、多くの参拝者に親しまれています。
水に恵まれた土地柄は、宇治が茶の栽培で栄える土壌ともなり、宇治茶文化の発展にもつながりました。信仰と生活文化の結びつきを感じられる点も、宇治上神社の魅力のひとつです。
世界遺産としての価値
宇治上神社は1994年に「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されました。日本最古の神社建築を今に伝えるだけでなく、自然と調和した環境、宇治の歴史的背景とともに高く評価されています。
平等院と並んで宇治を代表する文化財であり、小さな境内ながら日本宗教建築史における大きな意義を持つ存在です。
宇治上神社の観光案内はこちら→ https://www.kyoto-kankou.or.jp/info_search/3471
まとめ
宇治上神社は、日本最古の神社建築として貴重な文化財でありながら、清らかな水とともに人々の生活や信仰を支えてきました。静かな境内に立つと、1000年前の人々と同じ祈りの空気を感じることができるでしょう。
次回は「天龍寺 ― 夢窓疎石と曹源池庭園」を取り上げます。禅宗寺院の代表格が生んだ名庭園に迫ります。
出典
- 宇治市公式観光情報サイト「宇治市観光協会」
- 文化庁「古都京都の文化財」
- ユネスコ世界遺産センター「Historic Monuments of Ancient Kyoto」