Day13:コンプライアンス ― 信頼を守るための行動規範

最初は謎だよね!よく聞くビジネス用語

Day13:コンプライアンス ― 信頼を守るための行動規範

「コンプライアンス(Compliance)」という言葉は、ニュースや企業研修などでよく耳にします。
「法令遵守」と訳されますが、実はそれだけではありません。
本来の意味を理解し、日々の業務で実践することが、信頼されるビジネスパーソンへの第一歩です。

コンプライアンスとは、法律やルールを守ることに加え、社会の倫理や企業の理念に沿った行動を取ることを指します。
つまり、「法を守ればいい」という狭い意味ではなく、“信頼を守る”ための広い行動規範なのです。


🔹 コンプライアンスの基本的な考え方

ビジネスの現場では、次の3つの視点でコンプライアンスが重視されます。

  1. 法令遵守(Legal Compliance)
     労働基準法、個人情報保護法、独占禁止法など、法律を守ること。
  2. 社内ルールの遵守(Internal Compliance)
     企業の就業規則や社内規程、取引マニュアルに従うこと。
  3. 倫理的行動(Ethical Compliance)
     社会人として常識的で誠実な判断を下すこと。
     たとえば「顧客の信頼を裏切らない」「公私を分ける」など。

この3つがそろってこそ、企業も個人も社会的信用を維持できます。


🔹 たとえばこんな場面

たとえば、取引先から高価な贈り物を受け取った場合。
「もらってもバレなければいい」と思ってしまうのはNGです。
社内ルールや社会常識に反する行為は、後に信頼を損ねるリスクにつながります。

また、情報の扱いも重要です。
メールで顧客リストを誤送信したり、SNSで社内情報を不用意に発信したりすることも、コンプライアンス違反に当たります。

「自分の行動が、相手や会社の信頼を損なうかどうか」――
その意識を常に持つことが、最も基本的なコンプライアンスなのです。


🔹 コンプライアンス違反のリスク

一度でも不正や不適切な行為が明るみに出ると、企業や個人は次のような大きなダメージを受けます。

  • 社会的信用の失墜
  • 顧客や取引先の離脱
  • 法的制裁(罰金・処罰など)
  • 社員の士気低下

これらは「たった一人の油断」から起こることもあります。
だからこそ、全員が“自分ごと”として意識することが大切です。


🔹 現場での実践ポイント

  1. 「これって大丈夫?」と思ったら確認する
     疑問があるときは、上司やコンプライアンス担当に必ず相談する。
  2. ルールを知る努力を怠らない
     研修や社内規程を“形式的なもの”と思わず、内容を自分の言葉で理解する。
  3. 自分の判断を疑う習慣を持つ
     「周りもやっているから」「少しくらいなら」という思考を捨てる。

これらを日常的に意識することで、“リスクの芽”を未然に防ぐことができます。


🔹 まとめ

コンプライアンスとは、**“信頼を守るための約束”**です。
法律・社内ルール・倫理――どれも「社会と共に働くための最低限のルール」。

守ることはもちろん、「どうすれば信頼される行動になるか」を自ら考える姿勢が求められます。
それが、ビジネスパーソンとしての真のプロ意識です。


📚 出典

  • 経済産業省「企業コンプライアンス推進ガイドライン」
  • 日本能率協会『コンプライアンス経営とリスク管理の実務』
  • Harvard Business Review “Building a Culture of Compliance and Trust”