京都の世界遺産を学ぶ30日
Day16「銀閣寺 ― 東山文化とわびさび」
こんにちは。「京都の世界遺産を学ぶ30日」シリーズの16日目です。
今日は、金閣寺と並んで京都を代表する名刹 銀閣寺(正式名称:慈照寺 じしょうじ) を紹介します。
銀閣寺とは?
銀閣寺は、室町幕府八代将軍・足利義政によって1482年に建立された寺院です。本来は義政の山荘「東山殿」として造営され、彼の没後に禅寺となりました。
義政は、祖父・足利義満が築いた豪華絢爛な北山文化(金閣寺)に対し、簡素で静寂を尊ぶ「東山文化」を花開かせました。その象徴が銀閣寺なのです。

銀閣 ― わびさびの象徴
銀閣寺の中心は「観音殿(通称:銀閣)」です。二層建築で、1階は書院造の「心空殿」、2階は禅宗仏殿風の「潮音閣」となっています。金箔で覆われた金閣とは対照的に、銀閣は飾り気のない木造のまま。
当初は銀箔を貼る計画があったとも言われますが、実現せず、むしろその簡素さが「わび・さび」を象徴する存在となりました。静かで控えめな美しさは、日本美意識の根幹を形づくっています。
庭園と砂盛り
銀閣寺の庭園もまた大きな魅力です。東山を借景にした池泉回遊式庭園は、自然との調和を重んじる東山文化を体現しています。
特に印象的なのが白砂を使った「銀沙灘(ぎんしゃだん)」と「向月台(こうげつだい)」。銀沙灘は波を表現した砂紋で、月光を反射して庭を明るくする役割があったとも言われます。向月台は月見台としての意味を持つとされ、月と自然を愛でる日本文化の心を感じさせます。
東山文化と義政
足利義政は政治的には無力な将軍と評されることが多いですが、文化面では大きな功績を残しました。茶道、花道、能、庭園美など「わびさび」の美意識が形成され、日本文化の礎となったのです。
銀閣寺は、その義政の美意識を体現する場所として「東山文化」の中心となりました。
世界遺産としての価値
1994年、銀閣寺は「古都京都の文化財」の一部としてユネスコ世界遺産に登録されました。その評価は、簡素で静かな美を追求した東山文化を体現している点にあります。金閣寺との対比によって、日本文化の多様な美意識が一層際立つのです。
銀閣寺のHPはこちら→ https://www.shokoku-ji.jp/ginkakuji/
まとめ
銀閣寺は、華やかな金閣寺と並び称されながらも、その魅力は対照的。華美を排した静かな美しさは、日本の「わび・さび」を世界に示す文化遺産です。
次回は「龍安寺 ― 石庭と枯山水の象徴」を取り上げます。ミステリアスな石庭の魅力を深掘りしていきましょう。
出典
- 銀閣寺公式サイト
- 京都市公式観光情報「京都観光Navi」
- 文化庁「古都京都の文化財」