知っておきたい「ことわざ」30選

Day17：二度あることは三度ある ― 繰り返しを防ぐ学びの姿勢

「二度あることは三度ある」ということわざは、
「一度起きたことが二度起きると、三度目も起きる可能性が高い」という意味の言葉です。

一般的には「嫌なことが続く予感」として使われがちですが、
本来は「同じ失敗を繰り返さないように気をつけよ」という警告のことばでもあります。

人生や仕事の中で起こる“繰り返し”には、必ず理由があります。
このことわざは、失敗や出来事の“原因を学ぶ姿勢”の大切さを教えてくれるのです。

この表現は、古くから日本だけでなく世界中に類似の言葉が存在します。
英語でも “What happens twice will happen thrice.”（二度あることは三度ある）という表現があり、
人間の行動や運命には一定のパターンがあるという考えが共通しています。

日本では江戸時代から使われており、
「偶然が重なるときは、必ず理由がある」という意味で戒めの言葉として親しまれてきました。

つまり、「三度目」を防ぐためには、「一度目」「二度目」から学ぶ必要がある――
そんな人生の“再発防止”の知恵なのです。

人は誰でも、似たような失敗を繰り返してしまうことがあります。
それは、原因を十分に振り返らずに次へ進んでしまうからです。

・遅刻を何度もしてしまう → 準備時間の見積もりが甘い
・仕事で同じミスを繰り返す → 仕組みが悪いか、注意が分散している
・人間関係のトラブルが続く → 相手のタイプよりも自分の反応に課題がある

「二度あることは三度ある」と気づいたら、
「なぜ繰り返しているのか」を冷静に見直すことが重要です。
その分析こそが、三度目を防ぐ最大の鍵です。

企業の危機管理でも、この考え方は非常に大切です。
小さなミスやクレームを軽視して放置すると、やがて大きなトラブルにつながります。

・ミスを「一度きり」で終わらせない
・再発防止策をチームで共有する
・「なぜ起きたか」ではなく「どうすれば防げるか」を考える

この“学びのサイクル”を回すことで、
組織も人も確実に成長していきます。

“繰り返し”は、あなたに何かを気づかせようとするサインです。

「二度あることは三度ある」は、
単なる“迷信”ではなく、“気づきのきっかけ”をくれる言葉です。

失敗を恐れるより、学びに変えること。
偶然の中に必然を見つけ、同じ過ちを防ぐ力を身につけること。

それができれば、三度目はもう訪れません。
今日も一歩、同じ轍を踏まないための意識を持って進んでいきましょう。

・『故事ことわざ辞典』（小学館）
・『日本の名言・格言1000』（PHP文庫, 2019）
・ジェームズ・クリア『Atomic Habits』（Penguin, 2018）