最初は謎だよね!よく聞くビジネス用語
Day18:ロールプレイ ― 実践で磨くコミュニケーション力
「ロールプレイ(Role Play)」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
研修や面接などで「ロールプレイをします」と言われると、少し緊張する――そんな経験があるかもしれません。
ロールプレイとは、特定の場面を想定して役割を演じながら、実践的にスキルを身につけるトレーニング方法です。
“Role=役割” “Play=演じる” という意味の通り、実際に体験して学ぶことで、知識だけでなく「行動力」や「対応力」を養うことができます。

🔹 ロールプレイの目的
ロールプレイの目的は、単に「セリフを練習すること」ではありません。
現場で起こる状況をリアルに体験しながら、思考・行動・コミュニケーションを磨くことにあります。
たとえば――
- 営業職では「お客様との商談」
- 接客業では「クレーム対応」
- 医療現場では「患者との会話」
- 管理職研修では「部下との面談」
このように、実際に起こりうる場面を再現して練習することで、「頭では分かっていてもできないこと」を体で身につけるのです。
🔹 ロールプレイの進め方
効果的なロールプレイは、次の3ステップで行います。
- シナリオ設定
実際にありそうな場面を具体的に設定。目的や役割を明確にする。
例:「お客様が商品に不満を持っている」「新人がミスをした」など。 - 演じてみる
参加者がそれぞれの役を担当し、実際の会話のように進める。
自然な反応や即興の対応力が求められる。 - 振り返り(フィードバック)
演じた人・見ていた人の両方が意見を出し合い、「良かった点・改善点」を共有する。
この「振り返り」が最も重要なパートです。
他者からの視点を得ることで、自分では気づけなかったクセや課題を発見できます。
🔹 ロールプレイが効果的な理由
ロールプレイは、座学や講義とは違い、“感情”と“体験”を伴う学びです。
脳科学的にも「実際に体を使って体験した記憶」は、理解度が高く、忘れにくいと言われています。
また、心理的安全性を確保した環境で練習することで、失敗を恐れず試せるのも大きなメリット。
その結果、本番での対応力や瞬発力が自然と身につきます。
🔹 よくある誤解
ロールプレイというと「演技が上手い人が得をする」と思われがちですが、目的は演技力ではありません。
大切なのは、相手の立場や気持ちを理解し、適切に行動できるかということ。
つまり、“相手を想像して動く”練習です。
どんなに話が上手でも、相手の心を動かせなければ意味がありません。
🔹 現場での使われ方
ビジネス現場では次のように使われます。
「新人研修ではロールプレイで接客を練習します。」
「営業チームで提案ロールプレイを実施しよう。」
特にサービス業・営業職・マネジメント職では欠かせないトレーニング方法です。
一度のロールプレイでも、相手役・観察者・進行役など複数の立場を経験することで、理解がより深まります。
🔹 まとめ
ロールプレイとは、現場を想定して“演じながら学ぶ”実践的トレーニング。
机上の知識ではなく、行動と体験を通してコミュニケーション力を磨きます。
重要なのは「完璧に演じること」ではなく、「気づきを得ること」。
練習の場で失敗を重ねるほど、本番での自信が増していきます。
📚 出典
- 日本能率協会『実践で身につくロールプレイ研修ガイド』
- 経済産業省「職場におけるコミュニケーション力育成指針」
- Harvard Business Review “Learning by Role Playing: How Practice Improves Performance”
