Day19:エンゲージメント ― 組織と人をつなぐ信頼関係

最初は謎だよね!よく聞くビジネス用語

Day19:エンゲージメント ― 組織と人をつなぐ信頼関係

「エンゲージメント(Engagement)」という言葉は、ビジネスの世界で近年よく耳にするようになりました。
「従業員エンゲージメントを高めよう」などと使われますが、最初は「モチベーションと何が違うの?」と感じる方も多いでしょう。

エンゲージメントとは、従業員が組織や仕事に対してどれだけ信頼・愛着・貢献意欲を持っているかを示す概念です。
単に「やる気」ではなく、「会社と個人が信頼でつながり、互いに力を発揮できる関係」を指します。


🔹 エンゲージメントの意味と背景

“Engagement” には本来「約束」「絆」「関わり」という意味があります。
ビジネスの場では、社員が「会社の目標に共感し、自らの成長と組織の成功を重ねて考えられる状態」を表します。

かつての日本企業は「終身雇用」や「年功序列」により、自然にエンゲージメントが保たれていました。
しかし、働き方が多様化した今は、会社と個人の“信頼関係を意識的に築く”ことが求められています。


🔹 モチベーションとの違い

しばしば混同されがちな「モチベーション(motivation)」との違いを整理すると、次のようになります。

項目モチベーションエンゲージメント
意味やる気・意欲信頼・愛着・共感
原動力外的要因(報酬・評価)内的要因(共感・成長実感)
継続性一時的になりやすい長期的に持続する
組織への影響個人の動機チーム全体の結束力

つまり、モチベーションが「一瞬の火花」なら、エンゲージメントは「安定した炎」です。
会社への信頼と共感があるからこそ、困難な時でも前向きに努力できるのです。


🔹 エンゲージメントを高める3つの要素

  1. 信頼(Trust)
     上司・同僚・組織への信頼感があること。約束を守り、誠実に対応する文化が重要。
  2. 共感(Empathy)
     企業理念やミッションに共感できるか。自分の仕事が「何のためにあるのか」を理解できる環境づくり。
  3. 成長実感(Growth)
     努力が評価され、自分が成長していると感じられること。キャリア支援や学びの機会が鍵となる。

これら3つがそろって初めて、社員は「この会社で働き続けたい」と思えるようになります。


🔹 エンゲージメントが高い組織の特徴

  • メンバー同士のコミュニケーションが活発
  • 目的が共有され、目標に一体感がある
  • 失敗を責めず、挑戦を称える文化がある
  • 上司が“命令する人”ではなく、“支える人”である

このような組織では、社員の自主性や創造性が高まり、生産性も自然と向上します。


🔹 現場での使われ方

「従業員エンゲージメントを高める施策を検討中です。」
「このチームはエンゲージメントが高い。」

というように、主に人事・組織開発・マネジメント領域で使われます。
最近では「顧客エンゲージメント(企業と顧客の信頼関係)」という形でも注目されています。


🔹 まとめ

エンゲージメントとは、組織と人をつなぐ信頼と共感の関係
「この会社で働きたい」「この仲間と頑張りたい」と思える状態を生み出すことです。

給与や福利厚生だけでなく、“人として尊重される関係”がある組織こそ、エンゲージメントの高い職場です。
一人ひとりが誇りを持てる環境を作ること――それが、企業の本当の成長につながります。


📚 出典

  • 経済産業省「人的資本経営ガイドライン」
  • 日本能率協会『エンゲージメント経営入門』
  • Gallup社 “State of the Global Workplace Report”