ユーザー心理から見る広告作成術
Day19:LP(ランディングページ)の心理設計
ランディングページ(LP)は、広告や検索から流入したユーザーが最初に接触するページです。いわば「おもてなしの玄関口」であり、ここでの印象次第で「購入」や「問い合わせ」につながるか、「離脱」してしまうかが決まります。そのため、LPは単なる情報掲載ではなく、人間心理を理解した設計が欠かせません。

ファーストビューで心をつかむ
訪問者はページを開いた瞬間、**3秒以内に「自分に関係があるか」「読む価値があるか」**を判断するといわれています(Nielsen Norman Group, 2011)。ここで大切なのは、商品のスペックや特徴ではなく「得られるベネフィット」を伝えることです。
例:「最新成分配合の化粧水」よりも「乾燥肌が1週間でしっとりする」といった変化を前面に出す方が、読者の心に届きます。キャッチコピーと視覚的にインパクトのあるビジュアルで、瞬時に興味を持たせるのがファーストビューの役割です。
共感から始めるストーリー設計
人は「自分の悩みを理解してくれている」と感じると、続きを読みたくなります。したがって、LPは「あなたと同じように◯◯で悩んでいませんか?」という共感から始めると効果的です。その後に「この商品なら解決できます」というソリューションを提示し、自然な流れで関心を高めていきます。
この構造は「Problem(問題)→Agitation(不安の喚起)→Solution(解決策)」、いわゆるPASフォーミュラ(コピーライティングの定石)として知られています。心理的に人を動かす王道のフレームワークです。
信頼を高める「証拠」の提示
人はリスクを嫌う生き物です。商品を購入する前には「本当に効果があるのか」「自分にも合うのか」と不安になります。そこで役立つのが第三者の証拠です。
- 実際の利用者の声(口コミ・レビュー)
 - 実績データ(累計販売数・顧客満足度)
 - ビフォーアフター写真や導入事例
 
これは「社会的証明(Social Proof)」と呼ばれる心理効果で、ロバート・チャルディーニの『影響力の武器』でも紹介されています。特に、同じ立場の利用者の体験談は共感を呼びやすく、購入への後押しになります。
CTA(行動喚起)を設計する
せっかく共感と証拠を提示しても、最後に「行動」へつなげなければ意味がありません。ここで重要なのが**CTA(Call to Action)**です。
- 購入ボタンをファーストビュー、商品説明後、証拠の提示後など複数箇所に配置する
 - 「今すぐ購入」「無料で体験」「30日間返金保証」など行動のメリットを明確に示す
 - ボタンの色は背景とコントラストを強くして、視覚的に目立たせる
 
行動経済学では「選択のハードルを下げる」ことが効果的とされます(Thaler & Sunstein, 『Nudge』)。無料トライアルや返金保証はまさにその実践例です。
まとめ
ランディングページは、心理的なストーリーの積み重ねで人を行動に導く設計図です。
- ファーストビューでベネフィットを伝える
 - 共感→解決策→証拠→CTAの流れを組み立てる
 - 信頼を高め、行動のハードルを下げる
 
広告のクリック先として訪れるLPは、単なる「商品ページ」ではなく、心理学と行動経済学を応用した「セールスストーリー」であるべきです。これを意識すれば、成果は大きく変わってきます。
👉 学びのポイント
- LPは心理的なストーリー設計が重要
 - 共感→解決→証拠→CTAの流れで構成
 - 「信頼」と「行動のしやすさ」が成否を分ける
 
出典例:
- Nielsen Norman Group (2011) “First Impressions Matter: 3 Seconds is All Users Need to Judge a Website”
 - Robert B. Cialdini『影響力の武器』
 - Richard H. Thaler & Cass R. Sunstein『実践 行動経済学(Nudge)』
 
