知っておきたい「 ことわざ 」30選
Day2:急がば回れ ― 焦らず進む知恵
💬 はじめに
「急がば回れ」ということわざは、誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。
意味は、「急いでいるときほど、危険な近道を選ばず、遠回りでも安全で確実な道を選ぶべき」というもの。
現代のビジネスや人生のあらゆる場面に当てはまる教訓です。
効率やスピードを追い求めがちな今だからこそ、この言葉の真価が見直されています。
📜 ことわざの由来
「急がば回れ」は、室町時代の連歌師・宗長(そうちょう)が詠んだ歌に由来します。
近江路(おうみじ)は 伊吹もかすむ 朝霞 急がば回れ 瀬田の長橋
この歌は、京都から東国へ向かうとき、琵琶湖の南端・瀬田の橋を渡る道が遠回りでも安全だ、という意味。
湖を舟で渡る近道は、風や波が危険だからです。
つまり「安全第一」「焦るほど落ち着け」という人生の知恵が込められているのです。
⏳ 現代にも通じる「回り道の価値」
私たちの生活は、スマホやAIの進化で「最短」「最速」を求める方向へと進んでいます。
ですが、近道ばかり探していると、見落とすことも多いのが現実。
たとえば仕事では、急いで資料を作った結果、誤字や計算ミスが発覚してやり直しになる。
勉強では、暗記だけで済ませた内容が身についておらず、すぐに忘れてしまう。
恋愛や人間関係でも、焦って距離を詰めた結果、信頼を失うことだってあります。
「急がば回れ」は、そんな私たちに“遠回りの中にこそ本当の成長がある”と教えてくれるのです。
💡 「急がば回れ」を仕事で活かす
このことわざは、ビジネスの現場にもぴったり当てはまります。
「早く成果を出したい」「締め切りに追われている」――そんな時こそ、一呼吸おいて見直すことが大切です。
・工程を省略しすぎて、後でトラブルになる
・確認を怠って、信頼を失う
・短期的な利益を優先して、長期の損失を招く
これらはすべて、「急いだ結果、遠回りになる」典型的なパターンです。
一見遠回りでも、手順を守り、丁寧に仕上げた仕事のほうが、最終的には早く信頼を築けるのです。
🌱 遠回りは、無駄ではない
回り道には「発見」があります。
寄り道をしたからこそ見つけられる風景や、思いがけない出会いがある。
人生でも、挫折や失敗という“遠回り”を経験した人ほど、深みのある人間になります。
焦らず、しっかり歩むこと。
それが、長い目で見れば一番の“近道”なのです。
🌸 おわりに
「急がば回れ」は、スピード社会の現代にこそ響く言葉。
焦って進むより、確実に一歩ずつ積み重ねていくことで、結果的に大きな成果へとつながります。
急ぐ気持ちを抑えて、今日は少しだけ丁寧に。
それが、未来のあなたを助ける最善の選択かもしれません。
📚出典
・『日本ことわざ大辞典』(小学館)
・新村出編『広辞苑 第七版』(岩波書店, 2018)
・宗長『宗長手記』より(室町時代)
