最初は謎だよね!よく聞くビジネス用語
Day2:KPI ― 目標を数値で管理する指標
「KPI(ケーピーアイ)」という言葉を初めて聞いたとき、なんとなく“数字管理の難しい話”のように感じた人も多いでしょう。
しかし、KPIは決して難解な概念ではなく、**「目標までの道筋を数値で見える化する仕組み」**です。
KPIとは Key Performance Indicator(重要業績評価指標) の略で、最終的な目標(ゴール)に向かって進むために「今どれくらい達成できているか」を示す中間指標のこと。
ゴールにあたるのが KGI(Key Goal Indicator) で、KPIはそこへ到達するための“道標”として機能します。

🔹 日常の事例で考えてみよう
たとえば、KGIが「年間売上1億円」と設定されている会社があったとします。
このゴールを達成するために、どんな数値を管理すればよいかを考えるのがKPIの役割です。
- 月間売上:800万円
- 新規顧客獲得数:50件
- 成約率:20%
- 商談件数:250件
こうした中間目標を定めることで、チームは「今、どの段階にいるのか」「どの部分を改善すべきか」を明確にできます。
もし月間売上が目標の70%しか達していなければ、「新規顧客数が足りないのか」「商談数が減っているのか」など、具体的な改善点を特定できるのです。
🔹 よくある誤解と落とし穴
KPIを「数字のノルマ」と捉える人もいますが、それは誤りです。
KPIは“チームを縛るため”ではなく、“目標に近づくためのナビゲーション”です。
数字が悪かったとしても、それは「責める」ためではなく、「次にどう動くかを考える」ための材料になります。
また、KPIは多すぎても意味がありません。
大切なのは、「最も効果に影響する数値だけを絞る」 こと。
目標を細分化しすぎると、かえって現場が混乱してしまうため、3〜5個程度に絞るのが理想です。
🔹 現場での使われ方
ビジネスの現場では、次のような会話がよく交わされます。
上司:「KPIの進捗どう?」
担当者:「商談件数は計画通りですが、成約率が少し下がってます」
このようにKPIは、チームが“状況を共有する共通言語”として使われます。
また、KPIを可視化するために「ダッシュボード」や「進捗グラフ」を用意する企業も多く、メンバーが常に数字を見ながら行動を調整できるようにしています。
KPIの良し悪しは、「測りたい目的」と「行動につながるかどうか」で決まります。
単なる報告数値ではなく、「次のアクションを導く指標」であることが本質なのです。
🔹 まとめ
KPIとは、最終目標(KGI)に到達するまでの“道しるべ”。
現状を数字で把握することで、感覚ではなく根拠のある改善が可能になります。
大切なのは、“達成できなかった数字から学ぶ姿勢”。
数字は失敗を責めるためではなく、未来をより良くするためのヒントをくれます。
PDCAと組み合わせることで、KPIはチームの成長エンジンとして力を発揮します。
📚 出典
- 経済産業省「KPI設定と業務改善の手引き」
- 日本能率協会『成果を上げるKPIマネジメント』
- Harvard Business Review “How to Measure What Matters in Business”
