AIでなくならない仕事
Day24:農業従事者 ― 土と共に生きる知恵

はじめに
AIや自動運転トラクター、ドローンによる作物管理など、農業分野でもテクノロジーの導入が急速に進んでいます。こうしたスマート農業は労働力不足を補い、効率的な生産を可能にしています。しかし、農業の本質は「自然と向き合い、土と共に生きる知恵」にあります。この部分はAIや機械が完全に置き換えることはできません。
AIが得意とする農業の役割
AIは気候データや土壌センサーの情報を解析し、最適な肥料や水の量を提案することが可能です。病害虫の早期発見や収穫時期の予測などもAIの得意分野です。
一方で、自然は常に予測不能な存在です。異常気象や災害、地域ごとの微妙な気候差に対応するには、人間の経験と直感が欠かせません。
農業従事者にしかできないこと
- 土地との対話
その土地特有の土質や気候を肌で感じ、長年の経験で最適な作物を判断する。 - 自然への応用力
想定外の天候や害虫被害に対して臨機応変に対応する。 - 地域文化の継承
伝統的な農法や食文化を次世代に伝える役割を担う。 - 人とのつながりを育む
農作物を通じて消費者と結びつき、安心や信頼を提供する。
農業と「知恵」の関係
農業は単なる作業ではなく、自然との長い対話の積み重ねです。
- 「梅雨が長引く年は稲刈りが遅れる」
- 「この畑は風が強いから背の低い作物が合う」
- 「夜明け前の空気で翌日の天気を感じ取る」
こうした知恵は数値化が難しく、AIでは完全に再現できません。
農業の未来と人間の役割
テクノロジーが農業を効率化することで、農業従事者はより「創造的な仕事」に集中できるようになります。持続可能な農業や有機農法、地産地消の仕組みづくりなどは、人間の価値観と判断が不可欠です。
まとめ
農業従事者は「土と共に生きる知恵」を持ち、自然と人間社会をつなぐ存在です。AIやロボットが補助をしても、自然との対話や地域文化の継承は人間にしかできません。だからこそ、農業従事者はAI時代にも必要不可欠な仕事です。
次回は「Day25:環境保護活動家 ― 地球を守る使命」を取り上げます。
出典
- 農林水産省「スマート農業の展開について」(2021年)
- FAO(国連食糧農業機関)”The Future of Food and Agriculture”(2018年)
