Day28:「初心忘るべからず」― 成長しても原点を大切に

知っておきたい「 ことわざ 」30選

Day28:「初心忘るべからず」― 成長しても原点を大切に

💬 はじめに

「初心忘るべからず(しょしんわするべからず)」ということわざは、
「物事を始めたときの気持ちを、いつまでも忘れてはいけない」という意味です。

誰でも最初は新鮮な気持ちで努力を重ねますが、
慣れてくると慢心したり、初心の謙虚さを失いがちです。
この言葉は、**“原点に立ち返る大切さ”**を静かに教えてくれます。


📜 ことわざの由来

この言葉の由来は、室町時代の能楽師・世阿弥(ぜあみ)の著書『花鏡(かきょう)』にあります。

彼は「初心忘るべからず」を三つの意味で説いています。

  1. 芸を始めた頃の純粋な心を忘れないこと
  2. 上達しても、学ぶ姿勢を失わないこと
  3. 年を重ねても、新たな挑戦の心を持ち続けること

つまり、“初心”とは単なるスタート時点の気持ちではなく、
**人生を通して何度でも取り戻すべき「学びの心」**を指しているのです。


💡 「初心」を失う瞬間とは

仕事や人生が順調に進んでいるときほど、
人はつい「もう大丈夫」と油断してしまいます。

・経験に頼って努力を怠る
・周囲への感謝を忘れる
・失敗を他人のせいにする

このような状態こそ、初心を忘れているサインです。
初心とは「常に学ぶ姿勢」「感謝の心」「挑戦する勇気」。
どんな立場になっても、この3つを持ち続けることが、真の成長につながります。


💼 ビジネスと「初心忘るべからず」

企業やリーダーにとっても、初心を保つことは非常に重要です。

・創業時の理念を守り続ける
・初心者の目線で顧客の声を聴く
・慢心せず、常に改善を続ける

長く愛されるブランドや人は、どんなに成功しても“原点”を見失いません。
変化の時代こそ、初心を軸に判断することが信頼を生みます。


🌱 日常で初心を取り戻すヒント

  1. はじめての気持ちで接する – 人や仕事を“新鮮な目”で見る習慣を持つ。
  2. 感謝を書き出す – 当たり前の中に初心を見つける。
  3. 新しいことを始めてみる – 学び直しが初心の再生につながります。

初心は「過去に戻ること」ではなく、「今を見直すこと」。
今日からでも、何度でも取り戻すことができるのです。


🌸 おわりに

「初心忘るべからず」は、時代を超えて生き続ける普遍の教えです。
経験を重ねるほど、初心の価値がわかる――
それは、成長の中でこそ謙虚さが光るからです。

どんなに進んでも、最初の一歩の想いを忘れない。
それが、人生を長く輝かせる秘訣です。

🗝メタキーワード

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📚出典

・世阿弥『花鏡』(室町時代)
・『故事ことわざ辞典』(小学館)
・稲盛和夫『生き方』(サンマーク出版, 2004)