Day29:ジャーナリスト ― 真実を伝える使命

AIでなくならない仕事

Day29:ジャーナリスト ― 真実を伝える使命

はじめに

AIはニュース記事を自動生成し、速報や経済レポートを効率的に届けることができるようになりました。事実ベースの情報整理においては非常に優秀です。しかし、ジャーナリストの使命は「単なる情報の羅列」ではなく、現場で起きていることを肌で感じ取り、真実を伝えることにあります。この役割はAIが代替できない、人間にしかできない仕事です。


AIニュースの強みと限界

AIは膨大なデータを収集・分析し、素早く記事を作成できます。スポーツの試合結果や株価変動のように、数値で表せるニュースではすでに実用化されています。
しかし、AIが作る記事は「表面的な事実の整理」に留まりがちです。現場の空気感、取材対象者の声の震え、矛盾の裏にある真実を掘り下げることはできません。ニュースの本質は「人が人に伝えるもの」なのです。


ジャーナリストにしかできないこと

  1. 現場取材
    災害や紛争の現場に足を運び、当事者の声を直接聞く。
  2. 権力の監視
    政治や企業の不正を暴き、社会に警鐘を鳴らす。
  3. 物語として伝える力
    単なる事実の羅列ではなく、人々が理解し共感できる形にする。
  4. 倫理的判断
    どこまで公開すべきか、社会に与える影響を考えながら取材・報道する。

ジャーナリズムの社会的役割

自由で公正な社会において、ジャーナリズムは民主主義の基盤を支える存在です。AIは事実を処理できますが、「何を報じ、どう伝えるか」を決める責任は人間にしか担えません。現場で汗を流すジャーナリストの存在が、人々に信頼されるニュースを支えています。


まとめ

ジャーナリストの使命は「真実を伝えること」。AIが情報整理を担っても、現場に立ち、当事者に寄り添い、社会に問いを投げかける役割は人間にしか果たせません。だからこそ、ジャーナリストはAI時代にも不可欠な仕事なのです。

次回はいよいよ最終日、「Day30:AIと人間の共存 ― 新しい仕事観」を取り上げます。


出典

  • Kovach, Bill & Rosenstiel, Tom. The Elements of Journalism (Three Rivers Press, 2014)
  • 日本新聞協会「ジャーナリズムの使命と役割」(2021年)