Day30:パーパス ― 企業が存在する理由を見つめ直す

最初は謎だよね!よく聞くビジネス用語

Day30:パーパス ― 企業が存在する理由を見つめ直す

最近、経営理念や企業サイトなどでよく目にする言葉「パーパス(Purpose)」。
「企業のパーパスを明確にする」「パーパス経営を進める」――
一見、似たようなスローガンに思えますが、この言葉には深い意味があります。

パーパスとは、企業が存在する“目的”や“意義”のこと
「何のためにこの会社は存在しているのか?」を明確に示す考え方です。


🔹 パーパスの定義

“Purpose”は英語で「目的」「意図」を意味します。
ビジネスにおけるパーパスとは、利益を超えた存在理由を指します。

たとえば――

  • トヨタ:「幸せを量産する会社である」
  • パタゴニア:「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」
  • ユニリーバ:「持続可能な生活を“当たり前”に」

これらは単なるスローガンではなく、企業が何のために活動しているかを示す「北極星」のような存在です。


🔹 パーパスとビジョン・ミッションの違い

よく混同されがちな「ビジョン」「ミッション」との違いを整理しましょう。

用語意味時間軸
パーパス存在意義・社会的使命永続的(変わらない)
ミッション果たすべき役割・使命中長期
ビジョン目指す未来像近〜中期

つまり、パーパスは「なぜこの会社があるのか」という“根っこ”の部分。
経営判断や行動指針の出発点となる軸です。


🔹 なぜ今、パーパスが注目されているのか

かつての企業の目的は「利益の最大化」でした。
しかし、気候変動・格差・労働問題など、社会課題が複雑化する今、
**「社会にどう貢献できるか」**が企業の価値を左右する時代になっています。

消費者も社員も、**「何をしているか」より「なぜそれをしているのか」**に共感して動きます。
この“共感”を生み出すのが、パーパス経営の真髄です。


🔹 パーパス経営のメリット

  1. 意思決定がぶれない
     企業理念や戦略が一貫し、短期的なトレンドに流されにくい。
  2. 社員のモチベーションが高まる
     「自分の仕事が社会の役に立っている」という実感が、やる気を生む。
  3. 顧客との信頼関係が深まる
     共感を軸にしたブランドストーリーが支持を得やすい。
  4. 持続的な成長につながる
     短期利益ではなく、社会価値と経済価値を両立できる。

🔹 パーパスを実践する3つのステップ

  1. 原点を見つめ直す
     創業の想いや原体験に立ち返り、「なぜこの事業を始めたのか」を掘り下げる。
  2. 社員と共有する
     トップダウンではなく、現場を巻き込みながら共創する。
  3. 日常に落とし込む
     行動指針・評価制度・商品企画などに一貫して反映する。

パーパスは「掲げるだけ」では意味がなく、行動に結びついて初めて生きるのです。


🔹 現場での使われ方

「私たちのパーパスに基づいて新規事業を考えよう。」
「パーパスを軸に社員の行動を評価する。」

このように、経営戦略・ブランド構築・人材育成などの基盤として活用されます。


🔹 まとめ

パーパスとは、企業が社会の中で果たすべき存在意義
利益を超えて、「何のために事業を続けるのか」を問い直すことが、信頼を生む時代です。

“共感”が経済を動かす今、企業に求められるのは「正しさ」ではなく「誠実さ」。
パーパスを軸にした企業は、社会に必要とされ続ける存在になれるでしょう。


📚 出典

  • Simon Sinek “Start With Why”
  • 経済産業省「パーパス経営の推進に関する調査」
  • Harvard Business Review “Leading with Purpose”