Day5:「二兎を追う者は一兎をも得ず」― 欲張らない選択の知恵

知っておきたい「 ことわざ 」30選

Day5:「二兎を追う者は一兎をも得ず」― 欲張らない選択の知恵

💬 はじめに

「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざは、
“あれもこれも”と欲張る人に対しての戒めとして知られています。

意味は、「同時に二つのことを追いかけると、どちらも手に入らない」というもの。
現代社会では選択肢が多く、常に「どちらを取るか」で迷う時代です。
そんな私たちに、集中と決断の大切さを教えてくれる言葉です。


📜 ことわざの由来

このことわざの語源は古く、ヨーロッパのラテン語にも同じ意味の表現があります。
“Qui trop embrasse, mal étreint.”(多くを抱えようとする者は、うまく抱えられない)という格言です。

日本でも江戸時代に広まり、「二兎を追う者は一兎をも得ず」として定着しました。
狩人が同時に二匹のウサギを追えば、どちらも逃げてしまう――という
シンプルながら深い人生の教訓です。


🎯 焦点を絞ることの大切さ

現代では、SNS・副業・趣味・仕事など、やりたいことがたくさんあります。
しかし、あれもこれも中途半端に手を出してしまうと、結局どれも中途半端に終わります。

本当に成果を出すためには、「一つのことに集中する時間」を作ることが大切です。
選ぶことは、捨てることでもあります。
でも、ひとつを捨てる勇気がある人ほど、もうひとつを確実に掴めるのです。


💼 ビジネスでも使える「一兎主義」

この教えは、ビジネスやキャリアにも直結します。
企業でも、あれこれ手を広げすぎて失敗する例は少なくありません。
成功する企業や人ほど、「自分が何を大切にするか」を明確にしています。

・多くの仕事を抱えるより、優先順位を決める
・全員に好かれようとするより、自分の価値を磨く
・一時的な流行を追うより、信念を貫く

「一点集中」は、決して視野を狭めることではなく、
目標を明確にするための“知恵”なのです。


🌱 日常で実践する「二兎を追わない」習慣

欲張らず、集中するための小さな習慣をいくつか紹介します👇

  1. 1日1テーマに絞る – 「今日はこれをやる」と決めて動く。
  2. ToDoを減らす – 量より質を意識する。
  3. SNSや情報を整理する – 情報過多は集中を奪います。
  4. 自分の“本命”を明確にする – 本当に手に入れたいものは何か?を考える。

“選ぶ勇気”を持つことで、行動にも心にも余裕が生まれます。


🌸 おわりに

「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、
現代人が抱える“多すぎる選択肢の時代”にこそ必要な考え方です。

焦らず、一つずつ丁寧に追う。
その積み重ねこそが、確実な成果を生む最短ルートになります。

欲張らず、ブレずに。
あなたが本当に掴みたい“一兎”を、今日から見極めてみましょう。

📚出典

・『故事ことわざ辞典』(小学館)
・『日本の名言・格言1000』(PHP文庫, 2019)
・ラテン諺 “Qui trop embrasse, mal étreint.”