Day7「上賀茂神社 ― 葵祭の舞台」

京都の世界遺産を学ぶ30日

Day7「上賀茂神社 ― 葵祭の舞台」

こんにちは。「京都の世界遺産を学ぶ30日」シリーズの7日目です。
今回は、京都最古の神社のひとつであり、下鴨神社と並んで「賀茂社」と呼ばれる 上賀茂神社(賀茂別雷神社 かもわけいかづちじんじゃ) を紹介します。


上賀茂神社とは?

上賀茂神社は、京都市北区に位置し、678年に創建されたと伝えられる古社です。御祭神は賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)。雷の力で災厄を祓う神として崇められ、古代から京都の守護神とされてきました。

社名の「別雷(わけいかづち)」は「特別な雷」を意味し、大自然のエネルギーを象徴しています。壮麗な社殿と広大な境内は、訪れる人々に清浄な空気を感じさせます。


葵祭の舞台

上賀茂神社と下鴨神社を結ぶ最大の年中行事が「葵祭(あおいまつり)」です。平安時代以来、国家的な祭礼として重んじられてきたこの祭りは、毎年5月に行われます。勅使が朝廷の意を伝える行列「路頭の儀」は、平安装束をまとった人々が都大路を練り歩き、まるで千年前の都にタイムスリップしたかのようです。

葵祭の名前は、祭列の人々が葵の葉を飾ることに由来しています。豊かな自然の恵みに感謝し、五穀豊穣や国家安泰を祈る神事として、今も続いているのです。


境内の見どころ

上賀茂神社は広大な境内を持ち、自然と調和した社殿群が見どころです。

  • 本殿と権殿:国宝に指定される本殿と権殿は、典型的な流造(ながれづくり)の神社建築で、平安時代の様式をよく伝えています。
  • 立砂(たてずな):細殿前に置かれた二つの円錐形の砂山で、神の降臨を示す象徴。庭園の「盛り砂」の起源ともされます。
  • ならの小川:境内を流れる清流で、古来より禊の場とされてきました。

参道や社殿を歩けば、自然の中に息づく古代信仰を肌で感じられるでしょう。


世界遺産としての価値

上賀茂神社は、1994年に「古都京都の文化財」の一部としてユネスコ世界遺産に登録されました。その理由は、古代から変わらぬ信仰の場であり、自然との調和を大切にする日本文化の精神を体現している点にあります。

また、葵祭をはじめとする伝統行事が今も続いていることは「生きた文化」として高く評価されています。


上賀茂神社のHPはこちら→ https://www.kamigamojinja.jp/

まとめ

上賀茂神社は、京都最古級の神社として賀茂信仰を今に伝え、葵祭の舞台として千年を超える歴史を誇ります。自然と調和した社殿、立砂や清流に込められた信仰は、訪れる人々に清らかな感動を与えてくれるでしょう。

次回は「東寺 ― 五重塔と真言密教」をテーマに取り上げます。京都を象徴する五重塔の背景を探っていきましょう。


出典

  • 上賀茂神社公式サイト
  • 京都市公式観光情報「京都観光Navi」
  • 文化庁「古都京都の文化財」