最初は謎だよね!よく聞くビジネス用語
Day7:フィードバック ― 成長を促す伝え方
「フィードバック(Feedback)」という言葉は、ビジネスのあらゆる場面で使われます。
上司が部下に「あとでフィードバックするね」と言ったり、面談で「フィードバックをお願いします」と伝えたり。
けれど、具体的に“何をどうすることなのか”は意外と曖昧に感じる人も多いでしょう。
フィードバックとは、相手の行動や成果に対して、客観的な意見を伝え、より良い方向へ導くことを指します。
もともとは「機械の制御理論」で使われた言葉で、“結果をもとに調整を加える”という意味から転じて、ビジネスでは“成長のための伝え方”として使われるようになりました。

🔹 フィードバックの目的
フィードバックの目的は、「相手を評価すること」ではなく、「相手の成長を支援すること」です。
たとえば、部下がプレゼンを行った後に次のように言われた場合を考えてみましょう。
×「声が小さかったね」
○「冒頭の声量を少し上げると、もっと自信が伝わると思うよ」
前者は“指摘”ですが、後者は“改善のヒントを与えるフィードバック”です。
違いは、「どうすれば良くなるか」まで伝えているかどうか。
この“改善視点”こそが、相手の成長を促す大きなポイントです。
🔹 効果的なフィードバックの3ステップ
- 事実を伝える
感情ではなく、具体的な行動や結果に基づいて話します。
例:「資料の構成が整理されていて分かりやすかったよ」 - 意図を伝える
自分の感じた印象や背景を共有します。
例:「聞き手の理解を意識して構成した点が特によかった」 - 次への提案を伝える
改善につながるヒントを前向きに。
例:「次は図を少し大きくすると、さらに伝わりやすくなると思う」
この順序で伝えることで、相手は受け入れやすく、モチベーションも下がりにくくなります。
🔹 ネガティブフィードバックの注意点
厳しい内容を伝えるときほど、タイミングと伝え方が大切です。
周囲に人がいる場所で指摘すると、恥ずかしさが勝って内容が入ってきません。
また、言葉を選ばずに伝えると“攻撃された”と感じることもあります。
ポイントは、相手の努力を肯定したうえで具体的に伝えること。
たとえば、「ここは直そう」よりも「ここを直せばもっと良くなる」という言い方に変えるだけで、印象は大きく変わります。
🔹 現場での使われ方
ビジネス現場では次のように使われます。
「今週のプレゼン、フィードバックしてもらえますか?」
「新人へのフィードバックは面談の時間にまとめよう」
また、上司から部下への一方的な指摘だけでなく、部下から上司へのフィードバックも推奨される企業が増えています。
これは「双方向の学び」を大切にする文化の表れです。
🔹 まとめ
フィードバックとは、相手の成長を支援するための前向きなコミュニケーション。
単なる“ダメ出し”ではなく、“一緒に良くしていく”姿勢が重要です。
適切なフィードバックは、信頼関係を強化し、チーム全体のパフォーマンスを高めます。
言葉ひとつで人は落ち込みもすれば、前進もします。
相手の未来を応援する気持ちで伝えること――それが、本当のフィードバックの力です。
📚 出典
- 経済産業省「人材育成におけるフィードバック文化推進レポート」
- 日本能率協会『部下を育てるフィードバックの技術』
- Harvard Business Review “The Right Way to Give and Receive Feedback”
