AIでなくならない仕事
Day7:看護師・介護士 ― 温もりのケアが残る理由

はじめに
医療や介護の現場でもAIやロボットの導入が進んでいます。自動で薬を管理するシステム、見守りセンサー、入浴補助ロボットなど、すでに多くの場面で人手不足を補っています。では、このまま進めば「看護師や介護士は不要になる」のかというと、答えは「NO」です。むしろ、テクノロジーが発達するほど人間ならではの「温もりのケア」の価値が高まっていきます。
AIやロボットができること
AIは膨大な医療データを解析し、診断をサポートしたり、患者の異常を早期に検知したりすることができます。介護ロボットは移動や食事の補助を担い、見守りシステムは利用者の安全を確保してくれます。これらは現場の負担を減らし、人間の労働を補助する上で非常に有効です。
人間にしかできない「寄り添い」
一方で、患者や高齢者が本当に求めているのは「安心感」や「人とのつながり」です。
- 入院中、不安を抱える患者にかけられる一言。
- 認知症の高齢者に対して手を握るしぐさ。
- 痛みや不安に寄り添う視線や表情。
これらは数値化できない要素であり、機械では代替できません。医療や介護の現場では、治療やサポートそのもの以上に「人に寄り添うこと」が回復や安心につながるのです。
看護師・介護士が持つ専門性
- 身体と心の両面をケアする力
医療行為の補助だけでなく、心理的なサポートも行う。 - 状況判断と臨機応変な対応
患者のちょっとした表情や仕草から体調の変化を察知する。 - 信頼関係の構築
長期的な関わりを通じて、利用者や家族の不安を和らげる。
これらは単なる作業ではなく、人間ならではの総合的なケア力です。
テクノロジーと人間の共存
AIやロボットが単純作業や監視を担うことで、看護師や介護士はより「人間にしかできない部分」に集中できるようになります。つまり、テクノロジーは仕事を奪うのではなく、人間の役割をより本質的な「寄り添い」へと進化させるのです。
まとめ
看護師や介護士は、単に体を支えるだけでなく、心を支える役割を担っています。AIやロボットが進化しても、人間が人間に与える「安心感」や「温もり」は代替できません。だからこそ、これからの時代でも欠かせない存在であり続けるのです。
次回は「Day8:保育士・教師 ― 子どもとの信頼関係はAIでは代替できない」を取り上げます。
出典
- 厚生労働省「看護の現場におけるICT・ロボット導入の現状」(2021年)
- WHO(世界保健機関)”Global strategic directions for nursing and midwifery 2021–2025″