Day8:スキーム ― 仕組みをデザインする発想

最初は謎だよね!よく聞くビジネス用語

Day8:スキーム ― 仕組みをデザインする発想

「スキーム(Scheme)」という言葉を会議や資料でよく聞くけれど、正直「仕組みってこと?」と曖昧なまま使っている人も多いのではないでしょうか。
実際、スキームという言葉は幅広い意味で使われますが、本質はシンプルです。

スキームとは、目的を達成するための仕組み・枠組み・流れを体系化したものです。
英語の “scheme” には「構想」「計画」「制度」といった意味があり、ビジネスでは「目標に向けた実行プロセス」全体を指します。

たとえば、「新商品販売スキーム」「教育スキーム」「補助金スキーム」など、特定の目的を実現するための“仕組みの設計図”として使われます。


🔹 たとえばこんな例

ある企業が「自社商品の販路を拡大したい」と考えたとします。
そのためのスキームを設計するとは、以下のように“仕組み”を整理することを意味します。

  1. 目的:全国的に販売網を広げる
  2. 構成要素:販売代理店制度、オンライン販売、販促キャンペーン
  3. 関係者の役割:本社=戦略設計、代理店=営業、マーケ部=広告運用
  4. 収益構造:販売手数料・広告費・利益配分の設定

これらを明確にして「どんな流れで動くか」を描いたものがスキームです。
つまり、スキームとは「成功までの仕組みを見える化した設計図」といえます。


🔹 スキームを作るメリット

スキームがあることで、以下のようなメリットが生まれます。

  • チーム全体で同じ方向を向ける
     誰がどの役割を担うかが明確になり、混乱が減る。
  • 課題を早期に発見できる
     プロセスが見えることで、ボトルネックを特定しやすい。
  • 再現性が高まる
     成功した仕組みを別プロジェクトに応用できる。

「とりあえずやってみる」よりも、「どうすれば成果が出るか」を設計してから動く――それがスキーム思考の強みです。


🔹 よくある誤解

「スキーム=計画」と誤解されがちですが、両者には違いがあります。
**計画(プラン)**は「やる内容」そのものを示し、
スキームは「それを支える仕組みや流れ」を指します。

たとえば、「営業計画」は“どの地域に・何を・いつ売るか”という内容ですが、
「営業スキーム」は“どういう流れ・役割・制度でそれを実現するか”を考えることです。


🔹 現場での使われ方

ビジネス現場では、次のような言い回しが一般的です。

「このプロジェクトのスキームを整理しましょう。」
「新しい取引スキームを構築中です。」

また、行政や金融業界でも頻繁に使われます。
たとえば「地域活性化スキーム」や「投資スキーム」など、複数の組織や仕組みが連動する場合に特に使われる言葉です。


🔹 まとめ

スキームとは、目標達成に向けて仕組みを設計する思考法
個人での仕事でも「作業の流れを仕組み化」することで、効率と再現性が格段に上がります。

大切なのは、“うまくいった流れを再現できるようにする”こと。
一度きりの成功ではなく、誰でも使える「仕組み」を作る――それがスキームを設計するビジネスパーソンの発想です。


📚 出典

  • 経済産業省「事業スキーム構築のガイドライン」
  • 日本能率協会『仕組みで成果を出すスキームデザイン』
  • Harvard Business Review “Building Effective Business Schemes”