京都の世界遺産を学ぶ30日
Day9「醍醐寺 ― 豊臣秀吉の花見と文化財の宝庫」
こんにちは。「京都の世界遺産を学ぶ30日」シリーズの9日目です。
今日は「花の醍醐」と呼ばれ、春の桜で知られる 醍醐寺(だいごじ) を紹介します。
醍醐寺とは?
醍醐寺は、京都市伏見区の醍醐山一帯に広がる真言宗醍醐派の総本山です。874年、理源大師・聖宝(しょうほう)が開山し、山上の「上醍醐」と、のちに発展した山麓の「下醍醐」から成り立ちます。
平安時代以来、皇室や貴族の信仰を集め、真言密教の聖地として栄えました。現在は国宝・重要文化財を多数有し、「文化財の宝庫」と称されるほどです。

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秀吉の「醍醐の花見」
醍醐寺を語るうえで外せないのが、豊臣秀吉の「醍醐の花見」です。1598年、晩年の秀吉は盛大な花見をこの地で催しました。700本以上の桜を植え、約1300人を招いて行ったと伝えられ、当時の権力者の華やかな文化を象徴する出来事として知られています。
現在も春になると境内一面に桜が咲き誇り、多くの参拝者でにぎわいます。「花の醍醐」という愛称はここに由来しています。
建築と文化財
醍醐寺には数多くの歴史的建築があります。
- 五重塔:京都市最古の木造建築(951年建立、国宝)。平安時代の仏教建築を代表する貴重な遺構です。
- 金堂:国宝に指定され、もとは紀州・湯浅から移築されたもの。内部には薬師如来像を安置。
- 三宝院:醍醐寺の政務を司った中心で、庭園は秀吉の指示で築かれ、国の特別史跡・特別名勝に指定されています。
これらの文化財は、仏教建築や庭園美の発展を示す重要な存在です。

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上醍醐と下醍醐
醍醐寺は山全体が信仰の場であり、「上醍醐」は険しい山道を登った先にあります。開山の地であり、聖宝が修行した霊域で、信仰の原点とされます。対して「下醍醐」は平地に伽藍が整備され、参拝者にとってアクセスしやすい中心地となっています。
このように、自然と一体化した山岳信仰と、都市型寺院としての側面が両立しているのが醍醐寺の特徴です。
世界遺産としての価値
1994年、「古都京都の文化財」としてユネスコ世界遺産に登録されました。醍醐寺は平安から近世に至るまでの仏教建築や庭園、文化財を数多く伝え、日本の宗教と芸術の発展を物語る場として評価されています。
桜の名所であると同時に、千年以上の信仰と文化を伝える寺院。醍醐寺は、観光と学びの両面で魅力を放つ存在です。
醍醐寺のHPはこちら→ https://www.daigoji.or.jp/
まとめ
醍醐寺は、豊臣秀吉の「醍醐の花見」で名高い一方、真言密教の聖地として数多くの文化財を守り続けてきました。歴史・信仰・自然美の三拍子がそろった世界遺産として、訪れる人に深い感動を与えてくれます。
次回は「仁和寺 ― 御室桜と門跡寺院」を取り上げます。皇族ゆかりの寺院の魅力を掘り下げていきましょう。
出典
- 醍醐寺公式サイト
- 文化庁「古都京都の文化財」
- 京都市公式観光情報「京都観光Navi」