Day9:聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥 ― 素直に学ぶ勇気

知っておきたい「 ことわざ 」30選

Day9:聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥 ― 素直に学ぶ勇気

💬 はじめに

知らないことを人に聞くのは、少し勇気がいります。
「こんなことも知らないの?」と思われたら恥ずかしい――
そんな気持ちから、つい黙ってしまうこともありますよね。

でも、「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざは、
その一瞬の恥を恐れるよりも、「知らないままにしておく」ほうが、
ずっと大きな損だと教えてくれます。

この言葉は、素直に学び続ける人ほど成長するという、学びの本質を伝えています。


📜 ことわざの由来

このことわざの起源は、中国の古典『礼記(らいき)』や『論語』に通じる考えにあります。
孔子の弟子・子貢が「恥を知る者は強し」と語ったように、
一時の恥を受け入れてでも学ぼうとする姿勢が、古来より尊ばれてきました。

日本でも江戸時代以降、寺子屋教育の広がりとともに、
「わからないことをそのままにしない」ことが、学びの第一歩とされていました。
まさに、素直さと向上心を重んじる日本人の精神に根づいた教えです。


💡 恥は一瞬、知らぬは一生

「聞くは一時の恥」とは、その瞬間だけ少し恥ずかしいという意味。
しかし「聞かぬは一生の恥」は、そのままにしておくことで、
一生知らないまま損をする、という戒めです。

つまり、恥ずかしさを一瞬我慢すれば、一生の学びが得られるということ。
逆に言えば、恥ずかしさを避けるあまり学ばない人は、
いつまでも成長のチャンスを逃してしまうのです。


💼 ビジネスでも大切な「聞く力」

仕事の現場でも、わからないことをそのままにして失敗してしまうケースは少なくありません。
特に新人のうちは、「何度も聞くのは申し訳ない」と思いがちです。

しかし、経験豊富な上司ほど「早めに聞いてくれて良かった」と感じるもの。
質問することは恥ではなく、信頼を築くための行動です。
わからないことを正直に聞ける人は、
周囲からも「素直で学ぶ意欲がある」と評価されます。

“質問力”は、成長スピードを大きく左右するスキルなのです。


🌱 日常で実践する「素直に聞く勇気」

  1. 知らないことを隠さない – わからないと言える人が一番強い。
  2. 質問をメモしておく – 聞くタイミングを逃さず整理できる。
  3. 学んだことを共有する – 聞いた内容を他人に伝えると記憶に定着します。

「知らない自分を認める」ことは、恥ではなく成長のスタートです。


🌸 おわりに

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」は、
一瞬の勇気が一生の知恵を生む――そんな人生の教訓です。

学びに“遅すぎる”ことはありません。
素直に、正直に、そして誠実に学び続ける人こそ、
年齢を重ねても輝き続けます。

今日もわからないことがあれば、恥を恐れず聞いてみましょう。
その一歩が、あなたの未来を豊かにします。

📚出典

・『故事ことわざ辞典』(小学館)
・孔子『論語』より
・山本七平『「空気」の研究』(文藝春秋, 1977)